第1回 学生デザインコンペ受賞作品

ビル・公共部門「ずっといたくなる図書館」

審査委員特別賞

Time Signature

中 遼太郎(九州大学大学院)
玉田 圭吾(九州大学大学院)
中村 勇翔(九州大学大学院)


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コンセプト

ずっといたくなる図書館とは時間を感じる図書館ではないだろうか。

植物や光、風が吹き込むことで均質な空間に揺らぎが生まれ、粗密が生じる。時間によって生み出されるこの粗密は刻一刻と変化していき、一度として同じ空間は存在しない。仰ぎ見れば一面に広がる植物の屋根。それは季節とともに姿を変え、人々を楽しませる。風による木の葉のざわめきや、雲による太陽の陰りなど、ふとした瞬間に自然に感じさせ、本の世界に彩りをあたえる。水平に広がるパーゴラと植物に対し、水平に上下したフロアをつくることで天井の緑との距離や光の入り方を調節し、本のジャンルに合わせた空間を設計する。

こうした時間の移り変わりを感じさせ、刻一刻と変化する自然と共に過ごす環境こそ人々を惹きつけるのではないだろうか。時間を感じることでその場でその時でしか感じることのできない感覚こそ人々を空間へと誘い惹きつける。

講評

審査委員長 西沢 立衛 氏

 藤棚で屋根を作って、その下に地面が起伏してさまざまな場所を作り出すという案。深く掘られた場所や、高台など、さまざまな場があって、魅力を感じた。他方で、これがもし屋外空間とすると、本は痛まないだろうかとか、雨が降ったらどうなるのだろうかとか、図書館というよりは公園の遊び場のほうがふさわしくないだろうかとか、いろいろ考えてしまった。

審査委員 百田 有希 氏

 断面スケッチが魅力的で、ずっといたくなる「空間」をつくりたいという意思を感じました。木陰のような空間と動物の巣穴のような掘り込まれた空間とを組み合わせ、水平に広がるおおらかな場所と、ひっそりと篭れる場所をひとつながりの空間の中に実現しています。メインのパースから公園の中で過ごしているような大らかさがもっと伝わってくると良いなと感じました。

審査委員 松原 亨 氏

 天井は植物で覆われ、じっくり本を読むのは地面の下。書物と集中して向き合うための擬似自然環境のデザインとして面白いと思う。

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