第1回 学生デザインコンペ受賞作品

個人住宅部門「ずっといたくなる家」

優秀賞

まちの団欒 〜変わらない風景〜

米田 誉仙(日本大学)
池田 貴大(日本大学)


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コンセプト

実家のような非日常かつ恒常的な時間が流れる家を提案する。 ここには誰でも来ることができる。主に帰省したいと思う人へネットカフェやビジネスホテルのような気軽に利用できる宿泊の場を提供する。

食事や消灯は定時になされる。朝、障子から淡く光が入り、散歩する近隣住民のちょっとした会話に自然と目を覚ます。食事は大広間で行われ、ちゃぶ台を囲んで皆で食べる時間を共有する。夜には消灯すると居間に布団を敷いて夜に意識を任せていく。まだ起きていたい人は2階の居室へ向かい、好きなことに没頭する。また季節に合ったイベントを行い、四季のゆらぎを感じられる。各部屋から臨める桜の木はイベントと共に四季の表情を映し、緑が囲む空間がまちに団欒を生む。来訪者は洗濯を頼む代わりに食器洗いを手伝うなど、経営に協力することで地域に限らない懐かしくも新しいコミュニティを生む。

講評

審査委員長 西沢 立衛 氏

 縁側を持った分棟の小建築が集まって、二階は回廊で繋がって、全体として柔らかい一体性をうむという提案で、建築が集合する提案グループの中ではいちばん注目された案だった。集合住宅のような、コミュニティセンターのような、商業建築のような、どれともいえないような曖昧なもので、これが成立する背景がよくわからないのが問題点として指摘された。

審査委員 百田 有希 氏

 「家」というお題に対して実家のような「宿」を提案しているのが面白いと感じました。分棟形式の水まわりは地域に開いていく可能性があると思います。銭湯のようにお風呂を使ったり、共同のキッチンで夕食の支度をしたりと、この場所が街にとっての大きな団欒の場所になるといいなと思いました。

審査委員 松原 亨 氏

 これからの日本人は、所有欲を放棄することで居心地の良さを得るようになるのかもしれない。「シェア」という文化がどういう空間デザインを求めるのか、とても興味がある。

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