第1回 学生デザインコンペ受賞作品

個人住宅部門「ずっといたくなる家」

最優秀賞

外気を設える家

中塚 大貴(東京理科大学大学院)
大田 美奈子(関西大学大学院)
阪口 友晃(関西大学)


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コンセプト

外気が在る事。風が吹き、日に照らされ、季節や天候で湿度が変わる。そんな些細な事柄を迎えるだけで生活は豊かさを増すと考え、集合住宅における建物構成と室単位の設えの2点にコンセプトを与える。

敷地は都市公園と街路に挟まれた敷地であり、2つの異なる環境に挟まれた集合住宅を設計する。まず、構成として4mグリッドの層を3層重ね、中央に水回りなど生活の基盤となるSRC造の層、その両側をS造の層とすることで構造の持つ自由度と開放性に差を持たせる。このS造の各面に、住人に応じた設えが、3×4mの面を分割し、製品化された窓や扉、机や椅子、棚などを組み合わせるシステムによって構成される。そこでは夏風を受けながらBBQをする人々、そよ風を感じながら本を読む人、日を浴びながらヨガをしたり、湿度の変化に雨を感じ取るなど、何気ない一時に彩りを与えてくれ、ずっと居たくなる住居となる。

講評

審査委員長 西沢 立衛 氏

 通りと街路に挟まれた敷地で、大きな立面を持った住宅で、建具のあり方によって室内と外との関係が変わっていく様を楽しく描いた案。シェアハウスのようなものなのか、もしくは集会所のようなものなのか、機能は個人住宅ではないのかもしれないが、人々が集い暮らす賑わいが外観に表れるさまに魅力を感じた。中と外の関係性をテーマにした提案は、建具を課題の中心としたコンペにふさわしいものであるように感じられた。

審査委員 百田 有希 氏

 街や公園との境界に、開放的で居心地の良い生活空間をつくると同時に街並みをつくっている点を評価しました。大きな建具を開け放ったり、カーテンが風になびいたり、生活の中の動きが建具を介して街に賑わいとなって現れてくるのが魅力的です。「ずっといたくなる家」という個人の快適性の中に、集まって住むことだったり、街との関わり合い方がうまく織り込まれています。また実現に当たって規格化された建具を組み合わせる点も良いなと思いました。特殊なものではなく、通常のものの組み合わせや応用から、魅力的で新しい生活像を立ち上げようとする姿勢が、他者と共有可能な風景の創造につながっていると感じました。

審査委員 松原 亨 氏

 今回のお題である「ずっといたくなる家」が「心地よく外部とのコミュニケーションを保つことが居心地の良さとなる」住居だとすれば、集合住宅こそ適しているのかもしれない、そう思わせてくれるアイデアだった。設備機能をまとめて効率化を図ることで外に開いた空間を最大限に得ようという試み。

 設えをユニット化、パターン化することで個々人の嗜好性に合わせた空間を選択できるという設定も現実的な提案。また、住人それぞれの気持ち良さそうな生活のバリエーションが外を歩く人々からもなんとなくうかがえ知れる、といった「外への開き具合」もこのアイデアの重要な部分だと感じる。

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