第1回 学生デザインコンペ受賞作品

個人住宅部門「ずっといたくなる家」

建材提案賞

完結居

小池 翔太(千葉工業大学)


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コンセプト

ずっと居たくなる住宅とは、生活が住宅敷地内で完結することである。ここでの完結とは、住む人の向上心、活動力、アイデンティティーを発揮するために、外に出なくても家の中の空間の使い方で、十分に解決できるということである。

この住宅では、夫婦と2人の子供の4人家族という設定で、個人や家族という単位でのプライバシーを保ちつつ、多くの人の拠り所であり、新たな関係性が生まれるコミュニティセンターのような役割も果たす。そのために、快適、情報、ビジネスという3つのテーマを意識した。この3つのテーマが循環することによって生活が完結する。そして、これらのテーマや完結した生活空間をアルミという建築的には比較的新しく大いなる飛躍を秘めた部材と関連付けることにより、住宅のあり方、未来の住宅のための道標、各空間の細かな快適性などをすべてアルミで解決できるのではないか。そしてより有意義で有機的な建築になるだろう。

講評

審査委員長 西沢 立衛 氏

 軒先が動くという、変な提案である。変だが、なるほどと思うところもある。建築は、動く部分と動かない部分からできていて、たいていの場合は、動く部分は建具とか水洗金具とかに限られるが、この家では軒先が動く。たしかに合理的な提案だなと思うのは、太陽。風などの外界はつねに動いているからである。軒が出れば日陰を作れ、縮めば光を取り込める。そういう意味でも、気候に合わせて軒が上がったり下がったり、もしくは伸びたり縮んだりというのは、環境型住宅のイメージとしても示唆的に感じられた。

審査委員 百田 有希 氏

 軒が動くというアイデアが面白いと思いました。軒にはたくさんの役割がありますが、そのひとつに日を遮ったり取り入れたりする役割があります。そもそも太陽という動く相手に対して建築の方がかたちを変化させてみては?という考え方にはっとさせられました。

審査委員 松原 亨 氏

 軒は動けばいいのに、と思う。夏と冬とでは太陽の高さが大きく違う、という理由だけでも、軒を可変にするメリットはある。このテーマを建材という視点で考えさせてくれるアイデア。

審査委員 三協立山株式会社 三協アルミ社 技術開発統括部 統括部長 白井 克芳

 手動変形アルミ屋根という斬新なアイデアは、素材の特性を生かしたまったく新しい建材研究のヒントを与えてくれるものであり、これまでにない空間・価値・創造へと導き、未来の建材のあるべき姿・可能性を示唆してくれる。

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