最優秀賞 | みんながつくる船の劇場 |
---|---|
優秀賞 | 工場を開く浜小屋 半工半漁の工場群を目指して |
褒め合える街 -揺れ動く工場風景画産業を紡ぐ- | |
潮風と余白 | |
特別賞 | まちを薫くみち、香り満ちる。 |
学工給食場 学校給食から始まる学びの工場 | |
職をまとう襤褸屋 | |
三協アルミ賞 | SUTENA-PARK 〜サステナブルな暮らしを共につくる〜 |
河村 悠太(横浜国立大学大学院)
学校給食から始まる学びの工場を作る。小学校の給食は当時自分には娯楽そのものだった。また、給食室におけるとてつもない量のトン汁やごはんの量にびっくりしたのを覚えている。このようなダイナミックな風景を地域と共有するために、給食を自分たちで作る工場をつくる。これにより、小学生が作物を育てたり、生き物を育てる際の学びを地域全体で支えつつ、見守る。町の食堂でもあり、給食室における工場のようなダイナミックな風景の中に入り込んで、体験的な学びができる新しい小学校を提案する。
給食を自分たちで作ってそれを学びの場にするという学校を提案している。作者の思いがつまった魅力的なプログラム提案といえる。食べるシーンだけが印象に残る提案だが、むしろ栽培、収穫、調理、食事、廃棄、再生といった食をめぐる全プロセスを空間化すべきだった。
生産地と消費地が遠く離れてしまうことによって食物の生産に対する想像力を奪われている現在、この案が提示する子どもの頃から自ら育て、自ら食べる行為はとても大切であると思います。しかし、校舎周辺の農園は育てる作物毎に分断されており、媒介者となる昆虫や動物やその他の様々な生物への想像力が欠けていることが、各スペースを建築で分断していることに繋がってしまっていると感じます。農業そのものを運動と捉えることで校舎と校庭という用途を超えた食を通した新しい建築の提案も可能だったと思います。
「働きたくなる工場」とは必ずしも産業にまつわる工場のみを指すのではない。例えば、大きな土間のある民家は、暮らしに必要な様々なものを生産する場としての工場とも捉えられるように、何を工場と捉えるか?もこのコンペで投げかけられているテーマの一つであると言える。そうした点で、「食べる」という行為に着目し、学校を給食を通じて工場と捉える視点は斬新であった。その着眼点からさらにもう一歩踏み込んだ提案になると、より素晴らしかったと思う。
給食室を工場と捉え、生産と学びが一体となった場を構想する着眼点は面白いと思った。しかし提案では、実際に給食をつくる場所は既存の給食室で、提案されていたのは食べる場所が主であった。一つのことに多重に意味を見出していくところが面白かったのだが、それを建築的に表現してもらいたかった。
人は他人から認めら褒められることでやりがいと満足を感じ成長していきます。児童の段階から周りのサポートを借りつつも自らの手で食材を育て給食を作るお手伝いをする。時に食育を学び、時に給食を作る教えを乞い、反省を繰り返しながら自らが成長していく。美味しい給食作りは、周りの協力だけでなく自らが豊富な知識や経験、そして熟練の技を身に着けることも必要であることを学び成長する。この小学校+工場は、この先どんな環境下に置かれようと、自らの手で「働きたくなる環境」を作り上げていく資質を獲得できる、そんな「人の育成」にフォーカスした提案と感じました。