最優秀賞 | 稲穂のしおり |
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優秀賞 | Para-site ―太っ腹な家― |
地形を貸し出す家 | |
暮らしに留める旅の栞 | |
特別賞 | まちごとおままごと 〜宿デリバリーで私の旅をみんなの旅に〜 |
谷中の貫き土間 ー食がつくるまちのサイクルー | |
奥を持つ裏長屋 | |
三協アルミ賞 | 漂い、そして彩る『染のパサージュ』 |
飯島 隆也(早稲田大学)
平井 琳大郎(早稲田大学)
田原 佑紀(早稲田大学)
新宿区中井妙正寺川流域。かつてこの地域は染物産業で賑わい親水的な暮らしが構築されてきた。しかし、防災面や環境面での条例改正により染物文化が衰退、さらにはコロナ禍により人との共有する場をも失われつつある。そこで妙正寺川沿いの宿にそれら2要素を掛け合わせることにより中井の地域遺伝子を炙り出す。本提案では、ルーバーの連続体により構成される境界が曖昧な統一空間において街に開かれた染物産業が展開される。訪れた人々はその機能の隙間に存在する空間を染物で仕切り自分好みの空間をカスタマイズする。その行為により、自分がどのようにこの地域と向き合うのかを自考させるのだ。それと同時にこの統一空間は川という「庭」に対する周辺住民の「縁側」 になり得るのだ。その二面性が重なり合う時、両者は染物という曖昧な区切りから音や光を通じて互いの存在を認識し理解する。そのようにして人々はこの地に自分なりの共有の場を概念づける。
1本の木製の角柱をファクターに様々な組み合わせで表現を変え、空間価値を作り出している点、そしてどの作品より建材提案を正面で受止め、より具体的に取り組んでいる点を高く評価いたします。多種多様に形を変えその合間や先から見える染め物が光に映え水面に映る景色が想像でき、「川添いの庭であり縁側」となる期待と、訪問者と滞在者による覚醒を起こさせる可能性を秘めた面白い作品です。