第7回 受賞作品

特別賞

まちごとおままごと 〜宿デリバリーで私の旅をみんなの旅に〜

渡邉 純平(日本大学)

コンセプト

 コロナ禍の生活は私たちのこれまでの生活を大きく変えた。これからは「ヒト」も「モノ」も動く時代へと変化していくことが予想される。そこで、これまで空間として存在していた宿を場として再定義することで、宿のある地域の住民と旅行者が同じ場を共有することのできる新しいカタチの宿を提案する。本提案を実現するために、さまざまな機能をもった自動運転式のモビリディを用いる。宿泊者はそれらのツールをスマートフォンから注文し、好きな場所、好きな時間、好きな回数、場としての宿を構築する。小さい頃に行った「おままごと」のようにモビリティを媒介として、宿泊者と地域住民の接点を設けることで、外部空間を楽しむ新しい宿は、町全体を巻き込みながら地域を発展させるみんなの宿として、発展していく。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 いろいろな地域のサービスが旅先にデリバリーされる移動車両のプロジェクトで、その明るさ、現代性、軽さに魅力を感じた。面白いアイデアながら、車両のデザインに集中してしまったために、かえって画一化というか、各地域を均質化してしまうような車両にも見えた。提案を車両デザインだけでなくもう少し幅広く考えたほうがよかったのではないだろうか。

審査員 大西 麻貴

 小さな移動式の車を宿と見立て、街のあらゆるところに仮説的に場が現れる点が魅力的であった。一つ一つの車も丁寧に設計されており、このような宿があったら楽しそうだなと感じさせられた。ただ、一つ一つの車がどちらかというと機能的、スペック的に計画されており、空間的な提案でなかったのが残念だった。仮説的な場の可能性をもっと掘り下げていけると良いと感じた。

審査員 百田 有希

 アイディアを明快に伝えるプレゼンテーションだと感じた。ただアイディアがプロダクトとしてのアイディアになっていて、空間的な展開が十分には感じられなかった。複数が集まったり、オーニングが出てきてきたり、既存の建物と連動して場所ができたりと、サービスだけではなく人の居場所をつくる提案がもっとあると良いと思った。

審査員 白井 克芳

 類を見ない発想の提案です。場所を特定せず展開が可能であり地域住民も自由に利用できることから、社会貢献と地域貢献の可能性を併せ持つ大きな意味で共有したくなる宿と言えます。斬新な発想の建築しない建築提案は、評価対象としてとても難しいものがありますが、固定概念に左右されない豊かな発想を高く評価します。

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