最優秀賞 | 迷子になっていい街 |
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優秀賞 | きっかけを創る「間」 |
商家街 −商い家する街−(あきやがいーあきないかするまち−) | |
暮らしの商店坂 | |
特別賞 | 天幕の杜 〜寄り添い集う ゆりかご商店街〜 |
風ケイ室 〜Connect-Scape〜 | |
歩行者のコモンネットワーク | |
三協アルミ賞 | 別府商店街×小学校 −子供を核としたまちづくり− |
栗林 太地(法政大学大学院)
大岡 雄太(法政大学大学院)
商店街の裏には豊かな住空間が広がっていた。
普段私たちが商店街をイメージする時、メインストリートに面した商店のことを指している。しかし、それは街の表層にすぎず、薄皮一枚隔てた向こう側には、住人たちの賑わいが溢れる裏の商店街とも言える、もう一つの街が広がっている。
かつては、職住が一体化した商店が、商店街の裏と表を繋ぐゲートの役割を果たしていた。それらは、後継問題や、地価の上昇によってマンションやチェーン店に置き換わっていく中で、土地との関係性が薄れ、住民と訪問者の交流は無くなってしまった。
本提案では、商店街の持つ「可変生」と「歩行空間」に着目し、住民のコモンスペースを段階的に外部に解放することで、プライバシーを守りながら、来訪者も住民たちの活動に参加できるような道のシステムを設計した。
街の界隈性へ接続するゲートを通して、住民も来訪者も、ずっといたくなる商店街を提案する。
商店街と裏手の住宅街をつなぐ提案であるが、そのことよりも木戸番のアイデアが秀逸だ。道路を行政から与えられた空間と考えるのでなく、その道路を使う集団が自治する空間と捉えることは、江戸時代のものでありながら21世紀においても意味がありそうに思えた。
道を中心にコミュニティが生まれていた江戸時代の木戸番という仕組みを参照し、袋小路の入り口に「現代の木戸番」とでも言える人の場を作ることで、道を誰のものでもない公共の場から、皆で共有し、使いこなしていける人の居場所へと変えていく提案。その視点の面白さや、敷地の設定のオリジナリティが評価された。一次の提案で示されていたことと二次審査でのプレゼンテーションとの間に、発展性が感じられるとより素晴らしかったと思う。
江戸時代の木戸番に着目しながら、路地や通りを地域の人の居場所に変え、少しずつまちに開いて行こうとする提案である。木戸番が単に路地や通りを管理するという役割を超えて、公的なものになってしまった「道」を、どのようにして地域の人のコモンズに育てていくのか、そのために木戸番はどのような新たな役割が必要となるのかを考えるとさらに良い提案になったと思う。
住民と訪問者の往来の機会を増やす「歩行空間」によりつながりからコミュニティ形成まで発展させていくモデルは、スモールスタートが可能であると判断します。また開放するコモンスペース毎に特徴を出した冒険的なアプローチも可能となることから。住民の心の変化から住民同土のつながり、更には良い意味での競争原理にも発展し、創造的コミュニティの実現も期待できる。