第6回 受賞作品

特別賞

天幕の杜 〜寄り添い集う ゆりかご商店街〜

田島 龍生(麻生建築&デザイン専門学校)

コンセプト

 立ち止まる人が少なくなった商店街を活気づけ、どのように人に寄り添えばいいのだろうか?
人は楽しみや安らぎをふとした日常の中で感じる。いつも通る道の風景や四季折々の草花の匂いなど五感で感じられること、近道での偶然の発見や寄り道での一期一会の出会い。その空間がいつしか心地よい空間となっていく。
日常の中に自由なスペースがあれば感じることや体験できることは増えてくる。そこで天幕を使用し建物を繋ぎ、人も繋げる商店街を考えた。天幕のしたで、商売をする人。散歩で通る人。遊ぶ人。
オープンな空間がつながりを生み、物事が始まり楽しみや安らぎを感じられる活気ある場となる。生活する中で「天幕の杜」を起点に自然と繋がり、程よい距離感でずっといたい商店街として街と人の未来に寄り添っていきたい。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 ひとの行為や賑わいから生まれてくる仮設的な空間を鮮やかに表現したところが評価された。天幕にスポットライトを当てているが、実際は川や木、車、建築、すべてが仮設的であり、一夜で消えていってしまうお祭り空間のような現象的世界をポエティックに描いた。

審査員 大西 麻貴

 色とりどりの幕が連なり、まるでバザールのような、キャラバンのような空間を生み出している提案。商店街というと、道沿いに店が連なる空間を想像してしまいがちだが、「市」のはじまりを連想させるこのような形式もまた商店街なのだということに、改めて気がつかされた。水彩の淡い色合いを重ねていくプレゼンテーションが魅力的で、全提案を見たときにもその独自の世界観が際立って見えた。ぜひこうした仮設建築の歴史を勉強しながら、その可能性を広げていってほしい。

審査員 百田 有希

 仮設的で軽やかなイメージがさわやかで、個性的な提案だと感じた。敷地の設定が具体的にはなされていなかったが、仮設だからこそ、具体的な場所を取り上げて考えてみてほしかった。どこでもできるという仮設の魅力と、そこでしか経験できないという、場所固有の魅力が同時に伝わる提案になったと思う。

審査員 白井 克芳

 天幕という運動会やキャンプ、夜店など誰もが「楽しい記憶」を呼び起こす身近な道具を用い、安らぎや活気を産み出す空間を創出するところに納得感がある。またON,OFF が環境とお財布にやさしくスモールスタートが可能であり、また回を重ねることで地域性や目的が変わってもしっかり機能していく想像ができる。

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