第4回 学生建築デザインコンペ受賞作品

三協アルミ賞

解体新処
[建材提案:熱で延びるアルミ建材]

長谷川 峻(京都大学)
藤原 悠(京都府立大学)

コンセプト

 私たちの住む住宅は、果たしてずっと居たくなる住まいだろうか。加速化していく現代において、人は幾度となく引っ越しを繰り返し、その度にまっさらな空間に詰め込まれる。そこは故郷のような、記憶や心の拠り所となっていようか。インターネットが普及しデータ上の世界が広がっていく未来において、私たちはこの記憶の拠り所が必要であると考えた。未来ではこのように、住居が緩く解体され新しい処が普及する。そんな拠り所のある世界を提案したい。三協アルミの商品として、大開口サッシビューア―ト25122を用いており、新たな建材として、熱によるアルミの展延性を用いて、個々人の必要に応じて容量を増減可能とする物を提案する。そしてそれを用いたBoxと同じ規格寸法であるフレームを有する戸建住宅と集合住宅を提案する。Boxはそれらに自由に出し入れすることができる。Boxはその人の人生そのものとなり、唯一の記憶の拠り所となるだろう。

講評(敬称略)

審査員 白井 克芳

 子供の頃慣れ親しんだ空間をアルミ製BOXという一つのユニットとし、これを成長に合わせて伸展させ、いつも安心できるより処の中で成長していくという提案は、一見突拍子もなく魅力もないものと受け取ってしまいがちですが、作品を読むにつれその主張の壮大さに気づかされる作品です。高齢化に伴う減築リフォームやストック住宅の有効利用、更にはビルド&スクラップの際に排出するCO2問題に大きく切り込んでおり、建材提案賞以上の価値がある大作であると強く感じます。

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