最優秀賞 | 家から出ても、わたし、まだ はだし。 ―住居を繋ぐ、はだしの共有スペース― |
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イエのロジ | |
優秀賞 | 湯/塔のある暮らし |
マチイエ | |
特別賞 | ずっといたかった場所 |
匂いを紡ぐ土蔵 | |
Urban Mountain | |
三協アルミ賞 | 解体新処 [建材提案:熱で延びるアルミ建材] |
石田 卓也(横浜国立大学)
まち全体をひとつの住まいとして提案する。
私にとって「ずっといたくなる」場所とは、その時の環境や感情によって大きく異なる。朝日を眺めてハンモックで揺られていたいし、雨風が強い日は自分の部屋で本を読んでいたい。寂しくて誰かと話したい時もあれば、一人でぼーっとしたい時もある。
しかし、それは限られた敷地境界の中に建てられた住まいでは叶わないように思う。東西南北に建物も建っているだろうし、家に帰ったら一人かもしれない。
そこで、まちじゅうの魅力的な場所に住まいの機能を分散させることを目指す。
機能的なスペースは魅力的な場所に移り、一方で自分自身の部屋はより広く、自由に扱えるようになる。
また、それらの機能は「マチイエ−ルーフ」と名付けた建具により外廊下で繋がり、外廊下は路地のように多様な空間を生む。
かつて宿場町として栄えた賑わいを住宅地として取り戻し、未来に繋がるずっといたくなる住まいとなるだろう。
失礼ながら一次審査の時はまったく評価していなかった案だった。しかしプレゼンテーションを聞いて、とくに模型を見て、この作品の魅力がよくわかった。マチイエルーフなる、ある意味で雁木のような建築空間が、まちのあちこちにいろんな場所を作り出すという提案だ。マチイエルーフの有無に関わらず良い場所がいろいろありそうで、これは場合によってはマチイエルーフの否定にもつながりかねないが、街全体としての魅力を作り出すことは成功している。
一次審査から二次審査に進んで、最も進化に驚きのあった提案である。まち全体を「ずっといたくなる」場にしていくために、細長いルーフを家と家との間に張り巡らせていくのだが、それらの空間がアイディアだけにとどまらず、模型をのぞいていくと、一つ一つのルーフの下に地形と一体となった様々な居場所が出来ているところがよかった。こんなに単純な仕掛けで居心地の良い空間をつくっていくことができることが素晴らしいと感じた。
二次審査では大きな模型をつくり、魅力的な空間を具体的に提案していたのが良いなと思った。素朴なアイディアを実際にある敷地で展開し、エネルギーを掛けて丁寧に積み上げていくことが、「ずっといたくなる」感覚を作り上げているのではないかと感じた。テーマに素直に向き合った魅力的な提案だと思う。
マチという単位で「ずっといたくなる」を表現する視点は過疎化地域や高台などの地形的リスクを払拭する力があり、日本が抱える土地問題に一石を投じる素晴らしい提案です。また土地建物が高額であるほど価値が高いという見方をあざ笑うかのように高台に立つ家々の機能を分散させ、最大化させたプライベート空間とそれを縫うようにつなぐマチイエルーフ(外廊下)が織りなす空間は、人の心と生活をより豊かにし「ずっといたくなる場所」になると感じます。