第4回 学生建築デザインコンペ受賞作品

最優秀賞

家から出ても、わたし、まだ はだし。
―住居を繋ぐ、はだしの共有スペース―

小室 昂久(日本大学大学院)
渡邉 健太郎(日本大学)
小山 佳織(日本大学)

コンセプト

 日本には家の中で靴を脱ぐという習慣がある。この習慣のせいなのか、玄関で靴を脱いだ時に家に帰ってきたことを認識し、その瞬間から不思議と心が休みはじめる。靴を脱いだあとは、心の緊張感は解け、家族や恋人など親密な関係の相手と『はだしのコミュニケーション』を行う。靴を脱いだ瞬間に起こる心の変化に着目し、はだしの共有部を持つ住宅群を提案する。玄関を出るとはだしの共有部が現れ、近所の人たちと『はだしの付き合い』をする。はだしで滞在できる場所は居心地が良く自分の家のような錯覚を起こす。『みんなの場所であり自分の家』のような空間は住民たちに安息と開放感を提供し、失われた向こう三軒両隣に変わる新しいコミュニケーションを構築する。ここにいるだけで色々な人が気軽に話しかけてくれる・・・そんな空間がずっと居たくなる空間であり、この住宅は日本独特の文化から生まれた、未来に繋がる新しいご近所付き合いをつくる住宅なのだ。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 「ずっといたくなる」という出題から、家で靴を脱ぐ日本の文化に着目した点、また、それを建築構成のおもしろさにつなげていった点が、まず評価された。くつろげる空間、ずっといたくなる空間をつくるのに、家の中だけでなく、共用部や公共空間というところまで範囲を広げていったところも評価された。他方で、多少インテリア的な感じになった気もする。

審査員 大西 麻貴

 「ずっといたくなる」というテーマに対して、はだしになる気持ちよさに着目した点がよかった。また、内部空間の連なりのわかる大きな模型をつくったことも説得力があった。模型を見ていると「はだしになる」気持ちよさを中心に空間を展開した方がよかったのではないか等、様々な提案が浮かんで来るのだが、そのように皆が次のアイディアを出したくなるところもこの案のよいところだということで一等に選ばれた。

審査員 百田 有希

 「ずっといたくなる」というテーマに対して、はだしになる気持ち良さから住まいの関係を考え直しているのが良いと思った。はだしだけではなくて、サンダルや靴を履いてつながることも考えると、同じ隣の家であっても、どのような経路で出会うのかということで、全く違った関係を結ぶことが出来るのだなと思った。案の持っている可能性も含めて最優秀に選ばれたのだと思う。

審査員 白井 克芳

 「ずっといたくなる」をファジーに表現する作品が多い中、それは「心の緊張感が解けている空間」であり、「靴を脱いだ瞬間に訪れる」と論理的に示した気持ちの良い作品です。また住戸間に幾何学的なパブリックスペースを配したことで新しいコミュニケーションスペースが生まれ、「はだし」の開放感を超えた楽しそうな人間味豊かな空間が想像できます。

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