第4回 学生建築デザインコンペ受賞作品

特別賞

Urban Mountain

野口 樹(日本大学)

コンセプト

 一生に一度の買いものと言われる「マイホーム」ですが、家庭環境や生活環境などが変化してくると、どうしても「住み替え」をせざるを得ません。また、日本の家は、耐用年数も木造で22年と、家自体の寿命も、意外に短いのです。

 しかし、昔の日本の家は、同じ木造でありながら、二世代、三世代が普通に同居し、百年以上当たり前に住んでいました。

 現代における「ずっといたくなる住まい」について改めて考えてみました。

 ずっといたくなる住まいとは、緑豊かな山のような集合住宅です。心地よい緑に囲まれ、長く住んで行く上で必要な施設や人と人が交流する多目的スペース、グリーンスペースが組み込まれた山です。これをアーバンマウンテンと名付けました。都会に出現した山です。緑に覆われた建物は、開かれた山であり、ずっといたくなる住まいの提案です。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 一次審査のときに提示された森のような山のような建築のドローイングが評価された。話としても面白かった。ただ、具体的に設計していないので、多少アイデア的というか、広告屋的な感じ、またはお施主さんの要望書のような案となってしまったのが惜しい。

審査員 大西 麻貴

 緑におおわれた建物のファサードのスケッチに、独特のインパクトがあり特別賞に選ばれた。スケッチや、言葉の持つ素直な魅力と較べると、実際に提案されているのは建物の周縁部のみであることが少し残念だった。「山のような集合住宅」を、周縁部のみでなく建築全体で提案出来ると、よりよかったと思う。

審査員 百田 有希

 分かりやすいコンセプトと人の目を惹き付けるドローリングが魅力的。ただ提案がイメージで終わっているところがあって、山のような集合住宅という言葉が持つ魅力を、緑のカーテンだけではなくて、すまい方や人の集まり方に対する提案につなげると良かったのではないかと思う。

審査員 白井 克芳

 イラストそしてネーミング、抜群のセンスを感じます。山は人それぞれが欲した違う価値を提供する不思議な力があります。こんな力を持つ「マウンテン」を都会に創造し、そこに住まう人周りの人全てに山の恵みを分け与える提案は、とても素晴らしいものだと感じます。また2020年問題で法定緑地が解除され、都会の緑がなくなる危機を迎えます。脱炭素化社会に向けても一石を投じた作品です。

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