第2回 学生デザインコンペ受賞作品

優秀賞

ドアを開けたわたしの街と窓を開けたみんなの部屋

浦田 友博(京都工芸繊維大学大学院)
小野木 敦紀(京都工芸繊維大学大学院)


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コンセプト

家の表情をつくる既製品の建具がその通りに使われることからはみ出した、建具がつくる新しい街の様相を考えようと思う。普段使われている建具がスケールを変えたり、思いもよらぬ使われ方をする。例えば、隣の家まで続いている窓があったり、テラスにもなる蔀戸があったりする。おかしな建具の家の集まりは、普通の家とは違う表情や、連続する生活の様相をつくりだし、建具が開きはじめると、お隣さんとつながる家や、大きな集会所のような家や、商店街みたいに家具がとび出した家があらわれる。家と家の間の小道は建具であふれ、まるで部屋の中のようにも見える。大きな場所や小さな場所、部屋の中のような外、外のような中が連続し、あるところでは読書をしたり、コンサートが始まったり、パーティが開かれたりする。ひとつの住宅の単位を超えて、わたしの部屋は、みんなの街の一部に、みんなの街はわたしの部屋になる。

講評

審査員長 西沢 立衛 氏

 優秀賞の「ドアを開けたわたしの街と窓を開けたみんなの部屋」は、奇妙な建具が家と家の関係を変えてゆくというアイデアで、今回の応募案の中ではもっとも課題主旨を真正面に受け止めて、答えた提案であった。つまり、ずっといたくなる場所という問いかけ、新しい建材提案、地域と建築の関係などの諸課題を、ユニークな建具を開発することで、すべてに対して答えた。そうとう無理のある建具がばんばん出てくるが、全体としてユーモアと優しさがあり、魅力を感じた。

審査員 大西 麻貴 氏

 開口部の在り方をストレートにテーマにした気持ちのよい提案。いろいろな建具のアイディアがあり、どれも建築の内外に魅力的な居場所をつくっている。窓が開くと家と家がつながってしまうアイディア、扉が大きく開いて屋外に劇場のような場所を生み出すアイディア等、とても面白く感じた。

審査員 百田 有希 氏

 建具が対話のきっかけになっているのが面白い。またその相手が、光や風といった自然であったり、隣の家だったり、中庭や通りだったりと、いろいろな他者と関係を結んでいるのがいいなと思う。
街や隣人とどのような関係を結びたいかという住む人の態度が、建具を介すことによってそのまま空間に表れていて、それによって街の表情がつくり上げられていくのが魅力的に感じた。

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