『未来のとびらコンテスト2022《大学生版》 学生建築デザインコンペ』は、未来の私達の暮らしが豊かになるそんなライフスタイルやコミュニティに貢献できる作品を、専門学校・短大・大学・大学院において、建築・デザインなどを学ぶ学生を対象に募集しました。(締切/10月7日、最終審査/12月8日)
応募総数126件の中から各賞が下記のように決定しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
共有したくなる宿
西沢 立衛(Ryue Nishizawa)
建築家・SANAA・西沢立衛建築設計事務所
横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA 教授
大西 麻貴(Maki Onishi)
建築家・一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希 /o+h
横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA 教授
百田 有希(Yuki Hyakuda)
建築家・一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希 /o+h
三協アルミ役員1名
「共有したくなる宿」という課題に対して、思った以上にさまざまな提案が集まり、たいへん興味深かった。宿というものを拡大解釈して、または他のものに翻訳し直して設計する案が多く、審査は難しくも楽しかった。ただ一方で、本来の意味における宿の提案は少なかったような印象もあった。宿は、ウ冠の下に百人が集まるという漢字であり、ウ冠は普通に考えれば屋根または家と言える。つまり、百人という他者が一つ屋根の下に滞在し共存するという状態が宿で、それが現代社会においてもありうるのかどうか、ありうるとしたらどのような家か、という課題と考えられる。もちろんウ冠は字義通り大屋根と解してもよいし、または路地と考えても、村と考えても、雑居ビルと考えてもよいかと思う。その意味では、最優秀案「稲穂のしおり」は正面から課題に応えた案だった。田園の只中で、百人だけでなく物や動物までもが建築に集まってくる風景が想像できた。