アルミの基礎知識

アルミの不思議

1.分類 2.種類と特徴(展伸用合金)

1.分類

アルミニウム合金のうち純度99.0%以上のものを純アルミニウムと呼び、また種々の元素を添加して合金としたものをアルミ合金と呼んでいます。 いずれも純アルミニウムにない特性が付加され、さまざまな分野で活用されています。 アルミ合金は、最終製品のいろいろな要求や用途に必要な性質によって、 板、形、棒、線、鍛造品に加工する展伸用合金と、鋳物、ダイカストなどの鋳物用合金に大別でき、また非熱処理合金熱処理合金としても分類できます。

< 展伸用合金 > < 鋳物用合金 >
板、条、形材、箔、管、棒、線、およびリベットに使われる展伸加工性のすぐれた合金で鍛造品もこれに含まれます。 砂型、シェル型、金型、ダイカストなどの各種の鋳造に使われる鋳造性にすぐれた合金です。
< 非熱処理合金 > < 熱処理合金 >
圧延など主に冷間加工と添加元素の効果によって強度を高めることができる合金です。 溶体化(焼入れ)や時効(焼もどし:添加元素による微細な金属間化合物の析出によって材料の強さ、硬さなどが加熱とその時間の経過で向上する)などの熱処理で、より高い強度が得られる合金をいいます。 ただし、熱処理合金も熱処理のあとで、強度を高めるために冷間加工を加えることがあり、非熱処理合金でも加工ひずみを除去する焼鈍や安定化処理と呼ぶような広義の熱処理を行ったりします。

2.種類と特長(展伸用合金)

合金種類 JIS規格 合金の特長
純アルミニウム(Al) 1000 純度99.0%以上のアルミ(99.95%以上を特に高純度アルミという)。反射板、送配電材、放熱材などに使われる。
1.合金より柔らかく加工しやすい
2.溶接や表面仕上げがきれい
3.耐食性が非常によい
アルミ(Al)+銅(Cu) 2000 強度や硬さを増すが耐食性が劣る。航空機用材、輸送機器、機械部品などに使われる。
1.軟鋼を50%も上回る引張強さ
2.機械加工も比較的よい
アルミ(Al)+マンガン(Mn) 3000 マンガン約1.2%の合金で強度耐食性ともによい。アルミ缶などの容器、日用品、住宅外装など幅広い用途で使用される。
1.純アルミより強度20%程高い
2.耐食性もほとんど純アルミと変わらない
アルミ(Al)+けい素(Si) 4000 1.湯流れがよいので砂型アルミ鋳物として使える
2.融点が低いので溶接棒、ろう付に使える。
3.けい素5〜6%位までは純アルミとほとんど耐食性が変わらない
4.陽極酸化処理によって暗灰色の自然発色皮膜をつくる
アルミ(Al)+マグネシウム(Mg) 5000 耐食性は純アルミと同じで腐食環境によっては優る場合がある。
1.耐食性は特に海水に対して強い
2.強度が高く硬い
3.溶接しやすい
アルミ(Al)+マグネシウム(Mg)+けい素(Si) 6000 熱処理によってMg2Siが析出して硬化する。建築用サッシなどで多量に使用されている。
1.加工しやすい(押出)
2.耐食性がよい
3.溶接、切削性もよい
4.硫酸法により陽極酸化皮膜処理を行った場合に無色透明の皮膜が得られる
アルミ(Al)+亜鉛(Zn)+マグネシウム(Mg) 7000 時効硬化性で熱処理後の強度はアルミ合金の中で最も大きい。航空機、新幹線をはじめとする車両用構造材、スポーツ用具などに利用。
1.非常に硬くて強い(熱処理をして使う)
2.溶接構造材に使う
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