第3回学生デザインコンペ受賞作品

優秀賞・三協アルミ賞(W受賞)

地形に寄り添う門前町 —1300年の時をつなぐ、にぎわいのスロープ参道—

太田 みづき(日本大学大学院)


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コンセプト

1300年と言う長い歴史を持つ、神田明神。本郷台地の高台に位置する神田明神は、下町と「明神男坂・女坂」と言う階段の参道によって接続されていた。かつてはこの坂を中心に、「明神門前町」が形成され、職住一体の商いと生活の場がこの地域を支え、活気に溢れていた。そんな今もなお、ひっそりと残り続ける「明神男坂と女坂」。その二つの階段の踊り場と接続するように敷地をスロープでつなぎ、その間に集合住宅を設計した。基本ユニットを組み合わせることで、家族形態などに合わせてフレキシブルに住まえる計画とし、様々な生活アクティビティを纏った建具は、住戸内のにぎわいを参道に連続させる。門前町として、シンボル的な男坂と賑わいやアクティビティを纏った女坂が一体となった新たな参道は、住人や参拝客の活気溢れる「ずっといたくなるまち」となる。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 神田明神の男坂女坂で、店舗を持った集合住宅と路地を提案する案である。例えば階段の踊り場をつなげて地形を利用して新しい地形やスロープを作ったり、家も路地も段々になったり、色々と鋭いセンスが光る。等身大で身体的な提案であるにも関わらず、理論的な鋭さを感じさせるところがあり、素晴らしく感じた。その独創性がそのまま建築設計に流れ込んでいれば、もっと上位になったはずだ。

審査員 大西 麻貴

 プレゼンテーションを聞いて、提案の面白さに気がついた案である。男坂と女坂という性格の異なる坂の踊り場をつなぐと、自然とスロープが生まれ、そのスロープにあわせて新しい坂の街が生まれて行くという発見がとてもよかった。建物の方も、地形をつくっていく発想に連続した魅力的なプランになっていたらもっと面白かったと思う。

審査員 百田 有希

 男坂・女坂の二つの坂の踊り場をつないで新しい地形をつくる提案である。既存の坂と直行方向に緩やかな階段やスロープ状の微地形が出来るのだが、アイディアの持っている可能性が大きい分、その微地形と建築の関係が希薄なのが残念だった。ゆるやかな地形に横に長い建物が寄り添ったときに、どのようなことが起こるのだろうか。床は水平なのだろうか。机はいつの間にかベンチになるのだろうか。家の中まで入り込んだ微地形が寝心地の良いベッドになるなんてことはあるのだろうか。いろいろと想像が膨らむ提案だった。

審査員 白井 克芳

 門前町のような歴史的地域の開発は、保存と開発の鬩ぎあいが必至でバランスが成り立たないものが多いように感じます。そんな中男坂と女坂を地形に逆らわずスロープで横につなぎ魅力的なパブリック,セミパブリック空間を創り出す提案は、四季や高低差による景色や建物の変化を楽しむだけでなく、そこに住まう人や訪れる人の楽しみ方に触れることで更に地域が活性化し、ずっといたくなる感じを受けます。賑わいを作る建具はセミパブリック空間を豊かに創出するものばかりで、とても興味深い提案です。

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