第3回 学生デザインコンペ受賞作品

優秀賞

まちを巡る学び舎

増田 俊(日本大学大学院)
村岡 祐美(日本大学大学院)
平間 裕大(日本大学大学院)


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コンセプト

子供の頃まちの小学校へ毎日通っていました。しかし、大人になって小学校は入りづらく、身近な「まち」そのものが遠い存在になってしまいました。学区によって地域のエリアが規定され身近であるはずの小学校は返って私たちから「まち」を遠ざけているのではないでしょうか。そこで、まちを縫うように小学校を巡らせることによって、小学校との接続をたくさん持ったまちの在り方を提案します。小学校との接続をたくさん持ったまちにすることで、小学校とまちが寄り添う状態が生まれ、小学校がこのまちの環境を作っていきます。ここに住む多世代の人達は日常から小学校に通い、小学校が作り出す環境の豊かさが還元される拡がりを持ったまちが生まれるでしょう。私たちは新しい建材提案として、アルミ繊維を利用し「アルミのタタミ」を作ります。この「アルミのタタミ」は、まちと小学校が接続する空間や小学校の空間において幅広く利用することを考えます。

講評(敬称略)

審査員長 西沢 立衛

 街の中に建築のような路地のようなものが大きく蛇行して、これが実は学校でもあり、地域の人々の交流の場でもあり、これが蛇行することによって、各地区各世代をつなげてゆく、という提案である。現実的に考えるなら荒唐無稽と言って良い建築だが、不思議な伸びやかさがあり、またその暴力性とは裏腹に、地域の皆に手を広げてゆくような寛容さと開放感が感じられて、共感した。もう少し時間をかけてスタディすれば、もっと良い建築になると思う。

審査員 大西 麻貴

 街の中に道のような小学校をつくるという提案。配置図を見ると建物が街を切り裂いているように見えるが、シーンのスケッチではそれが不思議と街に様々な居場所をつくっており、魅力的に感じた。本人が「街の新しいインフラになる」と言っていたように、まちをうねうねと横切る空間が、小学校であり人々の通り抜けの道でもあるような、つまり、子どもたちのものであることと街のものでもあることが同じくらい大事なものに見えてくるとよりずっといたくなるまちにつながると思った。

審査員 百田 有希

 川のように街の中に分け入る小学校の提案である。道に面している部分もあれば、隣家の裏庭に面する部分もあり、街の表と裏を横断しながら展開するのが面白い。隣家と共有する裏庭は、ある家を通らないといけないことで自然とセキュリティがかけられるし、周りの家との関係でこどもの活動の場所をつくり出し、共有していけるところが良いなと思った。

審査員 白井 克芳

 そこに住まう人々のプライベート空間を縫うように小学校というパブリック空間が隣接することで内でも外でもあるセミパブリック空間が広がり、地域のコミュニティが対話を重ねながら、秩序だけでなく老若男女バランスのとれたまちを作っていく展開が容易に頭に浮かびます。ここで生まれ育った人は、地方を知って初めて地元がずっといたくなるセミラティスのまちであることに気づく、ストーリー性の高い作品である。

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