「ペットを家族の一員として、旅行やレジャーにも連れて行きたい」という人が、最近増えているようです。今回は愛犬と泊まれる1棟貸切のプライベートヴィラ「f.f.Vacation House Green」のオーナー岡本様と設計者の浦ア様に、施設の設計や設備、犬と飼い主が快適に過ごすための工夫について伺いました。
SNSでペットの写真を投稿する人が増え、ペットと一緒に旅行を楽しむスタイルは世間に定着しつつあります。それに伴い、犬と一緒に泊まれる宿泊施設への関心も高まり、利用したいと考える人は、年々、少しずつ増えてきているようです。
犬と泊まれる宿泊施設のなかでも注目を集めているのが、プライベートヴィラ型の施設です。「f.f.Vacation House Green」は眺望を活かしたバルコニーや、ナイトプールにもなる屋外プール、天候を問わず楽しめるデッキテラスでのバーベキューなどアウトドアライフはもちろん、ジェットバス、サウナ、カラオケもできるシアタールームなど、リラクゼーションやアミューズメントの設備がそろっています。
「ペットと一緒に泊まれる宿は増えてきましたが、当施設では1日1組限定、1棟貸し切りです。リゾートならではの“非日常”と“エンタメ感”をテーマに空間づくりを進めました。」と岡本様。
非日常の中でリフレッシュする旅行も、愛犬と一緒なら、さらに楽しく特別な時間になります。利用者には“自分たちだけの空間”というのが、とても好評なのだそうです。
「『f.f.Vacation House Green』では、建物の主要部を3mの目隠しパネルで囲い、外部からの視線をカットしています。プライバシーが守られるので、外からの視線や犬の鳴き声を気にせず、犬も飼い主もアクティブに楽しんでいただけるんですよ。」と岡本様。
外構はあえて“見せる場所”と“コストを抑える場所”を分けたそうです。
たとえば、利用客から見える面には、カラフルでデザイン性の高いアートパネルで明るい雰囲気に。敷地裏側はメッシュフェンスでシンプルに仕上げました。
フェンスは視線を遮る目隠しタイプや、光を取り入れる採光パネルタイプなどを設置条件に合わせて使いわけることで、空間をより使いやすくしながら防犯面も高めることができます。
「人工木デッキは、タイルよりもフルフラットに施工しやすく、床面に傾斜を取らなくても目地から排水できるのがいいですね。それに足元が平らだと、犬の歩行ストレスが軽減されるんですよ。雨の不快感も少ないですし、天然木と違ってメンテナンスが楽なのも助かります。」と岡本様。
デッキの上にはローメンテナンスな人工芝を敷き、汚れた時は交換してきれいな状態を保っています。
人工木デッキや人工芝は、必要な部分だけを修復・交換できるため、お手入れが簡単で効率的にメンテナンスが行えます。
施設は小型犬やシニア犬、また子ども連れでも安心して楽しめるよう、室内外の段差を極力抑えた設計にしています。
「大人は気にならない段差も、小さなお子様や小型犬、足腰の弱った犬には大きなハードルになります。そのため部屋への出入口やバーベキュースペースには、一般的な住宅に使われるタイルではなく、グランピングらしい非日常感を演出する人工木デッキを使って段階的に高さを設けて、段差をゆるやかにつなぐようにしています。」と浦ア様。
デッキスペースの上には、屋根と長さが調節できるオーニングを設置することで、日差しの強い日や雨の日でもバーベキューが楽しめます。
また、施設には階段を上ると眺望が楽しめる屋上バルコニーがあり、非日常を満喫できる空間になっています。日中はバルコニーから大自然の絶景が、晴れた日には夜風に当たりながら美しいサンセットがのぞめます。
アルミ階段の滑り止め(オプション対応)は、安全のためにも、ぜひ取り入れたい設備です。
また、「f.f.Vacation House Green」様では、汎用部材を活用したオリジナルカウンターを設置。イスも同じく汎用部材を使用し床に固定することで、転倒リスクを軽減する工夫が施されています。
愛犬と泊まれる宿は、安全で快適なだけでなく、非日常性やエンタメ感、そしてリフレッシュできる工夫も大切です。「f.f.Vacation House Green」では、人工木デッキや人工芝、フェンス、屋上バルコニーなどを効果的に使って、心地よく過ごせる空間がつくられています。
また、ペットのいない方向けには、「f.f.Vacation House Green」と同じレイアウトで、ペット非同伴専用の「f.f.Vacation House Blue」も展開中です。快適なアウトドア体験ができると、多様なニーズに応える施設に愛犬家以外からも注目が集まっています。