犬の運動不足やストレスを解消するためにも、庭は役に立つスペースです。
ただし、忘れてはいけないのが犬の特性に配慮した庭づくりを工夫すること。
そこで、犬に安全・快適な庭をつくるために必要不可欠なポイントをご紹介します。
監修:一般社団法人 犬と住まいる協会
犬は隙があれば外に広がる世界に出て行ってしまいがち。
しかし、「動物愛護法」でペットの飼い主は逃走を防ぐ義務があります。愛犬の命を守るためにも逃走・飛び出しをさせないエクステリアの工夫が必要です。
犬はあなどれないジャンプ力があります。愛犬のジャンプ力を知って、それにふさわしい高さのフェンスを設置しましょう。
犬が穴掘りをする理由は
犬にとっては穴が掘れる環境も必要かもしれませんが、脱走を防ぐために門扉やフェンス付近は穴が掘れないようにしましょう。その代わり、穴が掘れる遊び場を用意してあげると、他の場所で穴を掘る頻度は減ります。夏の暑さをしのぐために穴を掘ってお腹を冷やし、体温調節も行うので、穴掘り場は日当たりの強い場所を避け、できるだけ涼しい場所にしましょう。
高い場所からの落下、足場の悪いところでのつまずきや転倒など、毎日の暮らしの中で犬が思わぬケガをすることがあります。
特に庭などの屋外空間は犬が喜んで走りまわるので、
危険箇所をなくしましょう。
犬にとって滑りやすい床は体に大きな負担がかかります。
特に大型犬や胴長短足犬は足腰への負担が大きく、椎間板ヘルニアなど介護が必要な病気を発症する恐れも。それを防止するために、テラスやデッキなどの床材には滑りにくいものを選びましょう。
犬にとっては段差も足腰への負担が大きく、さらに高低差を判断しづらいため、転落事故につながる危険性も大。特に老犬、高齢犬、胴長短足犬は注意が必要です。そこで、段差のできる場所にはスロープを設置し、足腰への負担を軽減してあげたいもの。あらかじめスロープの幅を広くとっておくと、万が一介護が必要になっても犬が歩きやすく、飼い主も介護がしやすくなります。
犬の汗腺は主に肉球にしかなく、人間のように発汗による体温調節がほとんどできないため、暑い時期は想像以上に暑さの悪影響を受けます。
また、裸足で歩く犬にとっては高温の床も危険が潜んでいます。
暑い日に犬を庭で遊ばせたり、日当たりの強い場所で過ごさせると、熱中症を招く危険が高まります。ですから、暑い時期には屋根やターフ、植栽による木陰などを利用して屋外に日陰を数カ所つくりましょう。
そうすると、犬は涼しい場所を選んで移動することができます。
地面と体の距離が近い犬は、人よりも地面からの放射熱を受けやすく、体感温度が高くなります。また、高温の床や路面などを歩けば、肉球をやけどする危険も。肉球は地面に接する部位なので、やけどをすると治るのに時間がかかり、細菌等が入って悪化する場合も。散歩時だけでなく、自宅敷地の地面や床面の温度にも十分に注意を。
犬を洗う場合、家の浴室で行う人が多いようですが、寄生虫やズーノーシス(人畜共通感染症)の危険性があるため、犬の洗い場を別に設けるのが理想的。外で洗う場合は、濡れた毛に直射日光が長時間当たると、皮膚にやけどのような症状を起こすことも。そのため、洗い場には屋根やターフなどを設置し、直射日光が当たるのを避けるのがベターです。
外の水飲み場の桶や空の植木鉢、ビニールプールなどにうっかり水をためたままにしていませんか?犬がその水を飲んでしまうと、命をおびやかされることがあるので要注意です。
水たまりの水は寄生虫や細菌などに汚染されている可能性が高く、それを飲んだことが原因で犬がジアルジア症やレプトスピラ症、細菌性腸炎などに感染する危険性があります。
夏場はフィラリア症の原因となる蚊が発生することも多いので、水たまりをつくらないよう配慮を。
水飲み場やプールも使用後は必ず水を抜きましょう。
犬は胸焼けを起こしているときや毛、汚物などを吐き出そうとして草を食べることがあります。しかし、身近にある植物の中には犬にとって有害なものがたくさんあります。
十分に注意しましょう。
愛犬と安心して楽しめる庭をつくるためには植物の特性を知ることも大切。意外に犬に害を及ぼすものが少なくないので、草花を植えるときは事前に調べましょう。安全な植物でも、除草剤や殺虫剤を散布した場合は犬を近づけないようにしましょう。また、チワワやブルドッグなどの鼻の短い犬種は、草や枝が目に入る危険があるので注意が必要です。