商品のご利用と安全性について
窓の性能は、住宅性能表示のほか、社会背景や環境問題等で要求される項目及び等級があり、JISや建築基準法等多岐にわたり定められています。
消費者に適切な商品選択をしていただくため、窓の性能の情報提供が大変重要です。
一般社団法人 日本サッシ協会は、消費者に正しく情報を伝える目的に窓の性能を10項目(窓の基本性能である3項目/安全・安心に関係する性能の3項目/居住の快適性に関係する4項目)に絞り定義いたしました。
ここでは10項目について分かりやすくご紹介いたします。
1.耐風圧性
強風など内外からの力に対して
どの程度耐えられるかを示す性能
耐風圧性とは、窓・ドアがどれくらいの風圧に耐えられるかを表す性能のことです。台風などの強風によって窓・ドアが変形したり、ガラスが割れたり、また戸が脱落することがないようにするために非常に大切な性能です。面積1㎡当たり、どれくらいの風圧に耐えられるかを基準とした等級で示し、風圧の単位はPaで表します。
住宅に使用する窓は、取り付ける高さ・立地などを考慮して、十分な性能のものを選定することが大切です。
一般的な戸建て住宅の耐風圧性は、右上表程度の性能となります。ただし、これはあくまでも目安であり住宅の立地条件(山の上など高い場所に建っているなど)により異なります。
強風や台風で窓中央が風によって押され、変形したり元に戻ったりする状態が見られることがありますが、風がおさまった時にはもとの状態に戻ります。
JIS基準は均一に力が加わることを想定しているため飛来物などで、ある箇所に集中的に力が加わった場合は破損することもあります。
※サッシ・ドアの耐風圧性は製品規格:JIS A 4706−2000(サッシ)・JIS A 4702−2000(ドア)に規定され、
試験規格:JIS A1515−1998により測定されます。
JIS等級 | 等級との対応値 | (参考)風速換算値 |
---|---|---|
S-1 | 800Pa | 風速は36m/sに該当します。 |
S-2 | 1,200Pa | 風速は44m/sに該当します。 |
S-3 | 1,600Pa | 風速は51m/sに該当します。 |
S-4 | 2,000Pa | 風速は57m/sに該当します。 |
S-5 | 2,400Pa | 風速は62m/sに該当します。 |
S-6 | 2,800Pa | 風速は67m/sに該当します。 |
S-7 | 3,600Pa | 風速は76m/sに該当します。 |
※SはStructureの頭文字です |
選択の目安 | |||
---|---|---|---|
階高 | 高さh | 風圧力(C=0.8) | 対応するJIS等級 |
1F | 約3m | 約800Pa | S-1 |
2F | 約6m | 約1,200Pa | S-2 |
3F | 約9m | 約1,600Pa | S-3 |
2.気密性
サッシのすき間から、
どの程度の空気の出入りがあるかを示す性能
風が吹くと室内外に気圧差が生じ、気密部品の接触部分からすき間風が生じます。このすき間風を規制する性能を気密性能といいます。A-3等級とは、風速4m/s程度の風(=木の葉や小枝
が休みなく動く程度の強さ)が正面から窓に当たっているときに、窓表面1㎡あたりに1時間8㎥(=1辺が2mの立方体)以下の空気が出入りする性能です。サッシのすき間から出入りする空気の量が少ない方が性能が良いということになります。
したがって、気密性が高いことにより、冷暖房における負荷を軽減するので、省エネルギーとも密接に関連し、また、遮音性能も向上します。
ただし、気密性*とは逆に換気不十分による問題も生じることがありますので、定期的な換気や換気設備の設置などの配慮が必要です。
*日本工業規格(JIS)では、空気の出入りを遮断しなければならないという規定はありません。
※サッシ・ドアの気密性は製品規格:JIS A 4706 −2000(サッシ)・
JIS A 4702−2000(ドア)に規定され、
試験規格:JIS A 1516−1998により測定されます。
JIS等級 | 気密等級線 | (参考)対応サッシ・ドア |
---|---|---|
A-1 | A-1等級線 | 室内建具など |
A-2 | A-2等級線 | 室内建具など |
A-3 | A-3等級線 | 一般サッシ・ドア群 |
A-4 | A-4等級線 | 断熱・防音サッシ・ドア群 |
※AはAirの頭文字です |
気密性が良いと | ||||
---|---|---|---|---|
1 冷暖房における熱負荷が少ない。 | 省エネルギーにつながる | |||
2 内・外部騒音における遮音性が良くなる。 | 静けさにつながる | |||
3 外部からの塵埃、粉雪の吹込みが少ない | 快適な環境につながる |
3.水密性
屋内への雨水浸入を
どの程度防げるかを示す性能
一般的に戸建ての場合、JIS等級の目安としてW-2、W-3等級が必要となってきます。W-3等級は、1時間あたり240mmの降雨時に風速20m/s程度の風が吹いてもサッシからの雨水浸入がないということになります。
気象庁からの天気概況で風速が性能表示以下であったとしても、
住宅の立地条件(近隣住宅の配列や高さ、道路の状況、立ち木や塀の位置など)により局所的に発表数値を超え、屋内への雨水浸
入が考えられます。
そのため、より高い等級のものを選定したり、雨戸や窓シャッターを併用すると効果的です。
水密性の等級は、過去の気象データを見ると、一般的に“風が強いと雨が少なく”・“雨が多いと風が弱い”という傾向が見られるため、耐風圧性の風圧より低く設定されています。
雨水浸入の判断は窓枠を越えて屋内に雨水が入ることとされています。強風雨時にサッシ下枠に雨水がたまることがありますが、
これは一般的なサッシの構造上、水密性能を保持するためであり、不具合ではありません。
※サッシ・ドアの水密性は製品規格:JIS A 4706−2000(サッシ)・
JIS A 4702−2000(ドア)に規定され、試験規格:JIS A 1517−1998により
測定されます。
JIS等級 | 圧力差 | (参考)風速換算値 |
---|---|---|
W-1 | 100Pa | 風速は9〜15m/sに該当します。 |
W-2 | 150Pa | 風速は11〜19m/sに該当します。 |
W-3 | 250Pa | 風速は14〜24m/sに該当します。 |
W-4 | 350Pa | 風速は16〜29m/sに該当します。 |
W-5 | 500Pa | 風速は20〜35m/sに該当します。 |
※WはWaterの頭文字です |
必要等級の目安 | |||||
---|---|---|---|---|---|
水密性能の JIS等級 |
W-1 |
W-2 |
W-3 |
W-4 |
W-5 |
選択の目安 | 市街地住宅 | ||||
郊外住宅 | |||||
低層ビル | |||||
中高層ビル | |||||
※上表は一般的な地域における目安です。建物の立地条件、使用条件等によって異なります。 |
4.遮音性
屋内・外への音の出入りを、
どの程度遮ることができるかを示す性能
防音に配慮した戸建て住宅では、一般的にJIS等級での目安としてT-1、T-2、T-3の性能の窓が使用されます。
例えばT-1等級の窓では25dBの音を遮る性能を持っており、室外で80dBの音を実験室内では55dBまで下げることができるという性能です。これはあくまで基準としての窓の遮音性能であり、実験室と実際の住宅では窓以外のすき間の有無や天井・壁・
床など空間の条件が異なりますので、カタログなどに記載している窓の遮音性能値と、お住まいで実測する数値とは異なります。
住宅に使用される窓や出入り口は、騒音環境などの立地条件を考慮して選定することになります。
・遮音性はガラスの厚さによって変わりますので、指定の厚さ未満のガラスを使用すると本来の性能がでないことになります。
・室内の騒音レベルを低くする簡単な対策として、室内に厚地のカーテンやじゅうたんなど、吸音効果のあるものを使用すると効果的です。
※サッシ・ドアの遮音性は製品規格:JIS A 4706−2000(サッシ)・JIS A 4702−2000(ドア)に規定され、試験規格:JIS A 1416−2000により測定されます。
JIS等級 | 遮音等級線 | 住宅性能表示制度 等級区分 |
---|---|---|
T-1 | T-1等級線 | 等級2 |
T-2 | T-2等級線 | 等級3 |
T-3 | T-3等級線 | 等級3 |
T-4 | T-4等級線 | 等級3 |
※ TはTransmission Lossの頭文字です。 |
騒音レベルとサッシの遮音性 | |||
---|---|---|---|
騒音レベル | 身近にある騒音環境 | ||
120 〜 100 | 自動車の警笛 電車が通るガード下 |
聴力機能障害 | |
100 〜 80 | 電車の中 ボーリング場 |
きわめてうるさい | |
80 〜 60 | 幹線道路の交差点 バスの走行音 |
うるさい | |
60 〜 40 | 静かな事務所 静かな公園 |
普通 | |
40 〜 20 | 郊外深夜 ささやき |
静か | |
20 〜 0 | 呼吸の音 | きわめて静か |
5.断熱性
屋内の熱移動を
どれくらい抑えることができるかを示す性能
住宅においては、開口部がもっとも熱の出入りが大きいと言われています。快適な住まいを実現するためには、窓の断熱化が重要となってきます。
断熱性は、JISではH-1等級からH-5等級で区分され、熱貫流抵抗(R)の単位(㎡・K/W)で表示されます。
断熱性能を表す数値としては、熱貫流抵抗や熱貫流率が使われます。
熱貫流抵抗とは、熱貫流率の逆数(1 /熱貫流率)で熱の移動のしにくさを表しています。熱貫流抵抗が大きいほど熱が移動しにくいので断熱性能は良いということになります。
熱貫流率とは内外の温度差が1℃の時、窓面積1㎡あたり1時間にどれくらいの熱が移動するかを表す数値のことです。熱貫流率が小さいほど断熱性能が良いということになります。
住宅サッシの断熱性はサッシおよびガラスの構造、材質、開閉形式等の組み合せにより異なり、平成25年省エネルギー基準ではこれらの建具の構成による断熱性能が定められています。
窓を断熱化することで、熱を逃げにくく、室内へ入りにくくすれば、冬の暖房エネルギーは少なくてすみますし、夏の冷房エネルギーもグンと減らせます。
また、常時強風が吹付ける地域や建物の向きによっては、窓等の断熱性を高める内窓、雨戸、シャッター、室内カーテン、ブラインド等の併用も考慮してください。
※サッシ・ドアの断熱性は製品規格:JIS A 4706−2000(サッシ)・JIS A 4702−2000(ドア)に規定され、試験規格:JIS A 4710−1996により
測定されます。
JIS等級 | 熱貫流抵抗 | (参考)熱貫流率 |
---|---|---|
H-1 | 0.215㎡・K/W以上 | 4.65W/(㎡・K)以下 |
H-2 | 0.246㎡・K/W以上 | 4.07W/(㎡・K)以下 |
H-3 | 0.287㎡・K/W以上 | 3.49W/(㎡・K)以下 |
H-4 | 0.344㎡・K/W以上 | 2.91W/(㎡・K)以下 |
H-5 | 0.430㎡・K/W以上 | 2.33W/(㎡・K)以下 |
※HはHeatの頭文字です |
6.防火性
建築物の火災の拡大や類焼を防止し、
火災に対する安全性を表す性能
防火性は、建築物の延焼のおそれのある開口部に関して、室内または室外の周囲で発生する火災からの延焼を防止する性能として、火災による火炎を加熱面以外の面に出さない遮炎する時間で表されます。建築基準法では、下記の@、Aには“防火設備”を設置するように定めています。
@“耐火建築物”または“準耐火建築物”の“延焼のおそれのある部分”の外壁の開口部(建築基準法第2条第9号の二のロ、第2条第9号の三)
A防火地域・準防火地域に建設される建築物の“延焼のおそれのある部分”の外壁の開口部(建築基準法第62条、第64条)“防火設備”は、国土交通大臣の認定で運用されています。運用に当たっては、開閉形式別に認定番号が付与され、構造、最大寸法、ガラス種類などが定められています。
7.防露性
建具室内面およびガラス表面における
結露発生を抑える性能
防露性能についてのJIS等級などの基準はありません。結露とは、サッシの表面または室内の温度が周辺の空気の露点温度以下になると、空気中の水蒸気が水滴になることであり、防露性とは、結露を防ぐことを意味します。
防露性が高いということは、結露しないということではなく、結露の発生を抑えるとか結露の発生を低減するという意味です。窓の防露対策としては、断熱サッシおよび複層ガラスを用いることや、カーテンなどは開け、サッシおよびガラス表面温度を上げ、高く保つことが重要です。また、換気扇や除湿機などを設置し、室内の相対湿度を下げることも大切です。
8.日射熱取得性
日射熱量の取得効率を表す性能
従来の省エネルギー基準では暖冷房負荷の削減に主眼が置かれ、一定の断熱性能および夏期の日射熱取得性(遮蔽)の確保のみが求めらてきました。
建物全体の一次エネルギー消費量の削減が求められる、平成25年省エネルギー基準ではより高い精度で建物の省エネルギー性能を評価するために、これまでの断熱性能および夏期の日射熱取得性(遮蔽)に加え、冬期においても、どれだけ効率的に日射熱量を建物内部に取り込めるかの指標である日射熱取得性が評価されるようになりました。
9.バリアフリー
高齢者や身障者などの
移動・介助に対する幅員・段差・手すり設置などの配慮の度合い
バリアフリーとは、サッシ・ドアなどの性能を意味するものではなく、有効間口幅(幅員)、段差、高さなどの寸法で示されるものです。寸法基準は、“長寿社会対応住宅設計指針”などで示されていま
す。住宅性能表示では、右記の基準を基に、等級1 〜等級5まで区分されています。
住宅サッシは、メーターモジュール(MM)シリーズにて有効開口幅(幅員)を確保しています。バリアフリーの出入口(ドアなど)では、車イス移動の有効幅の確保や下枠段差解消のフラット構造を採用し、ハンドルの大型化による操作性も向上させています。なお、電動窓シャッター、雨センサー付ルーバーや玄関セキュリティシステムなどの電装商品も操作性を補助する意味では、バリアフリー商品の一環といえます。
現状では、使う人の年齢、性別、能力、経験などの違いに関係なく“どこでも、だれでも、自由に、使いやすく”というユニバーサルデザインの考えが取り入れられてきています。
住宅性能表示 制度等級区分 |
有効開口幅(幅員) | 対応基準 | |
---|---|---|---|
玄関 | 浴室 | ||
5 | 800mm以上 | 800mm以上 | 長寿社会対応住宅設計指針の推奨基準 |
4 | 750mm以上 | 650mm以上 | 長寿社会対応住宅設計指針の推奨基準 |
3 | 750mm以上 | 600mm以上 | |
2 | ー |
ー | |
1 | ー | ー | 建築基準法 |
住宅性能表示 制度等級区分 |
玄関の沓摺段差 | 対応基準 | |
---|---|---|---|
室外側 | 土間 | ||
5 | 20mm以下 | 5mm以下 | 長寿社会対応住宅設計指針の推奨基準 |
4 | 長寿社会対応住宅設計指針の推奨基準 | ||
3 | |||
2 | |||
1 | ー | ー | 建築基準法 |
10.防犯性
侵入行為に対し、
侵入を防ぐことができる抵抗力の性能
官民合同会議の役割について
昨今の侵入窃盗(強盗)事件の増加は、大きな社会問題としてクローズアップされています。この侵入窃盗に対する手段の一部として“防犯性能の高い建物部品”の早急な開発が大きく求められることとなり、警察庁、国土交通省、経済産業省の支援のもと、平成14年11月に行政、住宅生産者団体、防犯建物部品関連団体などからなる、官民を横断した“防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議”が組織化されました。防犯建物部品商品とは抵抗時間5分以上をクリアした防犯性能の高い開口部ゾーンの建物部品です。
防犯性に関する基準としては、『住宅性能表示制度』における評価方法基準に定められた次の3つの対象に対し該当部位が防犯に配慮されているかどうか(判断基準としては“防犯建物部品”の使用有無など)を確認します。
防犯性に関する基準としては、『住宅性能表示制度』における評価方法基準に定められた次の3つの対象に対し該当部位が防犯に配慮されているかどうか(判断基準としては“防犯建物部品”の使用有無など)を確認します。
a)住戸の出入り口
b)地面やバルコニーなどの足場部分から、所定の水平垂直距離に位置する開口部
c)aおよびbに掲げるもの以外のもの
住宅性能表示制度においては防犯性の等級区分はありません。
※警察庁、国土交通省、経済産業省、防犯建物部品関連団体(板硝子協会、日本ウインドウ・フィルム工業会、(一社)日本サッシ協会、(社)日本シャッター・ドア協会、日本ロック工業会)。また上記の4団体に住宅生産者団体を加えて“防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議”が組織化されています。
ビル商品につきましては、こちらをご覧ください。
または最寄りのビル支店・営業所までお問い合わせくださいますよう、お願いいたします。