パブリック(道路)とプライベート(家)を結ぶエクステリアは、空の下の開放感と室内の落ち着き感をあわせ持つ空間。光や風に包まれ、大気の広がりを感じてゆったりとした気分を味わえます。ストレスの多い現代社会では、こうした空間で心身を休めるのは非常に大切なこと。
ただ外からの視線や刺激を受ける場所だと、気が散ってかえってストレスになりかねないので注意が必要です。「たて格子で目隠ししたので、閉鎖感もなく安心してくつろげる」「落ち着きたいときはガーデンルームの窓を閉じ、のびのびしたいときは全開してます」など、視線をさえぎり静かに過ごせる環境を整えて、戸外のここちよさを満喫しましょう。
近隣の関係が希薄な時代と言われますが、人とのふれあいは心の潤滑油。ほどよくおつきあいできる環境を整えたいもの。門や玄関まわりにベンチを設け、ご近所さんと回覧板のついでにおしゃべりしたり、庭先の濡れ縁やデッキでママ友たちと親子でおやつを食べたり。
ガーデンルームやテラスで家族とくつろぎ、友達を呼んで楽しい時を過ごすのも素敵。室内だと「お掃除しなくちゃ」と気になっても、お庭なら大丈夫。料理に凝らなくても、青空やそよ風がおいしいスパイスに。「休日はここで、よく食べてよく笑って」「友達を集めてリタイア後の人生を謳歌してます」そんなお庭ライフを送りたいですね。
植物が人に与える影響は古くから知られ、効果を利用した「園芸療法」は、園芸を通じて心身の回復をはかる治療法として高齢者や病人のリハビリに、子どもの育成にと幅広く行われています。
自然の恵みを受けて春は芽吹き、夏は青々と繁り、秋には紅葉し落葉する…そんな営みを眺めながら四季の移ろいを感じる。家庭菜園をつくったり実のなる木を植えて、お手入れし、収穫し、食べる。そういったすべてが五感を刺激して、気持ちをより豊かに育んでくれます。ですから、緑をお庭にできるだけ取り込む工夫をしたいもの。スペースがなければ鉢ひとつでも、小さな坪庭でも、心をほっとさせる清涼剤になるはずです。
■「お花を植えよう!」と仮設住宅を訪問
2011年に起きた東日本大震災。多くの方々が家を失い、仮設住宅での生活を余儀なくされました。そこで、暮らしに少しでもうるおいをと、地元のエクステリア業者がボランティアで行ったのが「仮設住宅で一緒にお花を植えよう」という活動でした。これは、宮城県内の仮設住宅の敷地に花苗を運び、住民の方に好きなお花で寄せ植えをつくっていただく…というもの。
当日は大勢の方々が集まりました。最初は「花を世話する余裕なんて…」と尻込みしていた方も、たくさんの苗を見るうちに「面白そうだね」と参加。思い思いの花を組み合わせた寄せ植えが次々と完成し、広場はにぎやかな声や笑顔でいっぱいになりました。
■新たなスタートへ、きっかけをありがとう!
不在の方には寄せ植えを差し上げるサービスもしたところ、こんな置き手紙も。「大好きな庭もハーブもすべて失いました。でもこれを機にまたスタートできたら…。素敵な寄せ植えを楽しみに帰宅します。きっかけをありがとう!」。この活動は、震災後1〜2年の間に何度か行われました。主催者は、「厳しい状況でも、花を眺めたり土をいじって気晴らしをしていただければ…と思って続けました。みなさんの笑顔が柔らかで、緑や土には心を癒す力があるんだと改めて思いました」