ニュースリリース

2015.11.20

三協アルミ「未来のとびらコンテスト<大学生版>」
第1回 学生デザインコンペ 審査結果発表

 三協立山株式会社・三協アルミ社は、全国の専門学校、短大、大学、大学院にて建築、デザインなどを学ぶ学生を対象に、7月1日(水)から10月2日(金)まで開催した「未来のとびらコンテスト<大学生版> 第1回学生デザインコンペ」の審査結果を発表いたします。

 本コンテストは、昨年より全国の小学生を対象に開催している未来のとびらコンテスト<小学生版>の「大学生版」として、今年度初めて開催した第1回学生デザインコンペです。
 「ずっといたくなる家」「ずっといたくなる図書館」の2つのテーマで、これからの時代や社会をイメージしたデザインを募集したところ、全国より152点のご応募をいただきました。
 審査委員長に建築家の西沢立衛氏をお迎えし、厳正な審査を行った結果、受賞作品12作品(最優秀賞2作品、優秀賞4作品、建材提案賞2作品、審査委員特別賞4作品)を決定いたしました。

<最優秀賞>

個人住宅部門 「ずっといたくなる家」

 


 

<作品名> 外気を設える家

中塚 大貴(東京理科大学大学院)
大田 美奈子(関西大学大学院)
阪口 友晃(関西大学)

◇評価 <審査委員長/西沢立衛氏>

通りと街路に挟まれた敷地で、大きな立面を持った住宅で、建具のあり方によって室内と外との関係が変わっていく様を楽しく描いた案。シェアハウスのようなものなのか、もしくは集会所のようなものなのか、機能は個人住宅ではないのかもしれないが、人々が集い暮らす賑わいが外観に表れるさまに魅力を感じた。中と外の関係性をテーマにした提案は、建具を課題の中心としたコンペにふさわしいものであるように感じられた。

<コンセプト>

外気が在る事。風が吹き、日に照らされ、季節や天候で湿度が変わる。そんな些細な事柄を迎えるだけで生活は豊かさを増すと考え、集合住宅における建物構成と室単位の設えの2点にコンセプトを与える。敷地は都市公園と街路に挟まれた敷地であり、2つの異なる環境に挟まれた集合住宅を設計する。まず、構成として4mグリッドの層を3層重ね、中央に水回りなど生活の基盤となるSRC造の層、その両側をS造の層とすることで構造の持つ自由度と開放性に差を持たせる。このS造の各面に、住人に応じた設えが、3×4mの面を分割し、製品化された窓や扉、机や椅子、棚などを組み合わせるシステムによって構成される。そこでは夏風を受けながらBBQをする人々、そよ風を感じながら本を読む人、日を浴びながらヨガをしたり、湿度の変化に雨を感じ取るなど、何気ない一時に彩りを与えてくれ、ずっと居たくなる住居となる。

ビル・公共部門 「ずっといたくなる図書館」

 

 

<作品名> 街の間、屋根の連なり

小島 悠暉(名古屋大学)
東 瑞貴(名古屋市立大学)

◇評価 <審査委員長/西沢立衛氏>

観光客で賑わう歴史的地区で、街のひとと外のひとが交流できる図書館の提案。空間構成はとくに新しいものではないが、各場所を丁寧に設計していて、全体として魅力的な建築になった。ただ柔らかい瓦という提案は、個人的にはどうかと感じた。

<コンセプト>

本設計の対象敷地は愛知県犬山市にある城下町の一角を敷地とする。この敷地は東側の観光地として賑わう参道と東側の静かな住宅地の道路に挟まれた二面性をもつ敷地である。この二面性を繋ぐ、地域の住人と観光客の両者の居場所となる図書館を提案する。それぞれの道沿いには路地のような隙間が存在し、その奥に繋がる図書館の様子が隙間から垣間見え、奥の図書館へと人々を誘う。街へと連続するように大小様々な屋根が連なり重なることで、どちらの建物の空間なのか、内なのか外なのかわからないような曖昧な空間をつくりだし、参道側と街側をつなぐ。この二つの操作により人々が滞留し、様々なアクティビティがうまれる。

※他の受賞作品や評価コメントなど受賞作品に関する詳細はこちら
http://alumi.st-grp.co.jp/kenchiku/2015result/index.html

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[概要]
(1)名称    未来のとびらコンテスト<大学生版> 第1回学生デザインコンペ
(2)概要    みんながくつろげる空間デザイン、建材提案を部門別で募集
(3)募集テーマ  ◇個人住宅部門「ずっといたくなる家」
         ◇ビル・公共部門「ずっといたくなる図書館」
(4)応募期間  平成27年7月1日(水)〜平成27年10月2日(金)

(5)応募対象  全国の専門学校、短大、大学、大学院にて建築、デザインなどを学ぶ学生で
         現在在学中の個人またはグループ(3名まで)
(6)受賞特典   <最優秀賞>各部門1点・・・副賞30万円
         <優秀賞>各部門2点・・・副賞15万円 
         <建材提案賞>個人住宅部門2点・・・副賞15万円(ビル・公共部門該当なし)
         <審査委員特別賞>個人住宅部門1点・・・副賞5万円
                  ビル・公共部門3点・・・副賞5万円
(7)審査委員(敬称略)
    審査委員長 西沢 立衛 (建築家・横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA教授)
    審査委員  百田 有希 (建築家・一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希/o+h)
          松原 亨 (Casa BRUTUS編集長)、 三協アルミ役員1名

[審査総評]
◇総評 <審査委員長/西沢立衛氏>
 「ずっといたくなる家」と「ずっといたくなる図書館」という二本立てのコンペティションで、「ずっといたくなる」ということがひとつの共通のキーワードである。図書館とか学校、住宅、商店街というような機能・用途を超えて、ひとが滞在したくなるような魅力をもった空間、人間の居場所つくり、ということがテーマで、人間の居場所をつくるのに空間や建築はどう貢献できるのか?という問題提起は、建築を志す人間にとって大きな課題だし、建築を志す人間以外の人々にとっても重要な、これからの時代や社会の行方を示唆する重要なテーマと感じた。 応募作はいろんなアプローチがあって、街全体に図書館が広がる案、商店街を使う案、巣のような案、公園のような案、多種多様な提案があり、審査も楽しく、難しくもあった。全般的な印象としては、「ずっといたくなる家」よりは「ずっといたくなる図書館」のほうが、みなのびのびと発想していて、大胆な提案が多かったような気がする。前者はどちらかというと堅実で、今の時代若者にとって家はあまり面白い課題ではないのだろうか?という不安を感じた。

ニュースリリースに記載されている情報は、発表日現在のものです。

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