三協立山アルミ株式会社(本社:富山県高岡市早川70番地 社長:川村人志)と株式会社不二越(本社:富山市不二越本町1丁目1番1号 社長:井村健輔)は、両社のもつ押出成形技術、薄板圧延加工技術を融合し、これまで困難であったマグネシウム合金の広幅薄板コイルを協同開発した。
これにより、マグネシウム部材成形の主流であったダイカスト製法から、より高品位な薄板プレス製法への切り替えが可能になった。今後、電機・電子、IT分野をはじめ自動車や産業機械分野において、マグネシウム合金の適用分野を拡大する。
1.マグネシウム合金の市場・技術動向
- マグネシウム合金の特長
マグネシウム合金は、構造部材用に使用される金属中でもっとも軽量であり、強度、電磁シールド性、振動吸収性、切削加工性、耐くぼみ性、寸法安定性、放熱性など高い機能を有している。また、リサイクル性が高く地球環境保護の面でも優れていることから、高強度・軽量を要する分野において、鉄やプラスチックなどに替わる材料として、注目が集まっている。
- マグネシウム合金部材の製造技術
マグネシウム合金の成型方法は、ダイカスト法、鍛造法、押出法、薄板プレス成形法の4種類に大別される。 薄板プレス成形法は、表面品質や板厚寸法精度が安定し、生産性も高く、薄肉の量産部品の製造に優れており、ダイカストなど他の製法では困難であった板厚0.7mm以下(最小0.2mm)の成型品が製造可能となる。また、コイル板幅は350mmと国内最大で、従来に比べ、より大型の部材成形が容易となる。
- マグネシウム部材の市場規模
現状のマグネシウム部材の市場規模は、年間600億円程度であるが、適用分野の拡大が期待される薄板プレス成形法の浸透により、3年後の2010年には、年間900億円規模(1.5倍)の市場に成長すると予想される。
2.三協立山アルミのマグネシウム事業の特長
- 押出成形技術を活かして市場参入
アルミ建材分野で培った連続鋳造、押出技術を活かして、2003年にマグネシウム事業に参入し、非建材分野の市場開拓をすすめている。とくに、パイプ形状など押出製法による中空部材を中心に販売実績を伸ばしており、最近では、用途や目的に応じた多彩なマグネシウム合金材質を展開している。今後は、薄板プレス成型法の確立により、新たな市場の開拓にとり組んで行く。
- 環境にやさしい製造技術の確立
活性が高いマグネシウム合金の鋳造には、大気との接触を防ぐため、地球温暖化係数が二酸化炭素の23,900倍の6フッ化硫黄ガス(SF6)が使用されてきたが、三協立山アルミは、アルミの連続鋳造技術を活用して、世界ではじめてSF6を使用しないマグネシウム合金の製造方法を確立した。環境面のネックを解消することにより、マグネシウム合金市場の一段の拡大に貢献する。
- マテリアル事業の強化
2007年6月1日、三協立山アルミのマテリアル事業部門を独立、分社化し、「三協マテリアル株式会社」を発足させる。その中で、マグネシウム押出加工品の製造、販売を強化していく。
3.ナチ不二越のマグネシウム事業の展開
- 特殊鋼事業のつよみとマグネシウム合金への展開
ナチ不二越のマテリアル事業は、切削工具等に使用されるハイスの一貫生産につよみを持ち、とくにハイスの薄板材では国内トップシェアを有している。この特長を活かして、2001年にマグネシウム合金の薄板圧延技術の確立に着手し、広幅シート材の商品化をすすめてきた。
さらに、マグネシウム合金の本格的な事業化をめざし、2005年から三協立山アルミと協同で広幅薄板コイルの開発にとり組み、今般、国内最大幅となる薄板コイルの商品化に成功した。これにより、マグネシウム合金の高速で高精度な連続プレス成形加工が容易となる。
<三協立山アルミ>広幅薄板コイル圧延に適したマグネシウム押出母材の開発、高品位母材の安定供給
< 不 二 越 >広幅薄板コイル圧延加工技術・装置の開発
- 精密成形部材への展開
ナチ不二越が自動車・自動車部品業界で培ってきた精密成形技術を活かして、マグネシウム合金の薄板シートやコイルの供給だけでなく、プレス成形部材、完成品の提供をすすめていく。
4.今後の両社のとり組みと事業目標
- 今後の課題と取り組み
今後は、マグネシウム合金の適用分野拡大と付加価値の向上をねらいに、溶接や表面処理技術の協同開発をすすめ、押出加工品、広幅薄板コイル、プレス成形部材(完成品)を軸として、市場開拓にとり組んでいく。 さらに、両社の事業拠点が富山に集積するメリットを活かし、技術開発面だけでなく、製造・営業など幅広い面で交流を深めていく。
- 事業目標
両社の連係をつよめ、マグネシウム合金のラインアップを拡充し、2010年には、両社併せて100億円規模のビジネスへ育成する。
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ニュースリリースに記載されている情報は、発表日現在のものです。
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