ニュースリリース

2007.04.11
溶解・鋳造、押出の一貫基盤技術を構築
世界初 マグネシウム合金鋳造新技術の確立(NEDO助成事業)

三協立山アルミ(本社:富山県高岡市早川70 社長:川村人志)は、平成16年度より「地球温暖化防止新技術プログラム」の一環として進めてきた 「SF6フリー高機能発現マグネシウム合金組織制御技術開発プロジェクト 」を本年3月20日に終了し、基本的技術開発を完了しました。当社は引き続き、商品化に向けた開発活動を継続します。

(1)環境負荷低減を目指したNEDO助成事業
本プロジェクトは、京都議定書に定められた削減目標量の達成、およびエネルギー消費を抑制しつつ、持続的な経済成長を確保することを可能とする社会の構築を目指し、経済産業省の主導のもと、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として設立されたものです。
本プロジェクトでは当社を幹事会社として、住友電気工業(株)、大同特殊鋼(株)、(株)日本製鋼所の4社で研究連合体を構築し、当社では環境負荷低減を実現し得るマグネシウム合金溶解・鋳造から、押出加工に至る一連の製造技術の確立を目指して技術開発を推進してきました。
なお、当社のプロジェクト予算総額は5億8780万円(うち1/2(2億9390万円)が助成)となります。
(2)量産レベルでのSF6フリー化により、溶解・鋳造工程での環境負荷を大幅に低減 <世界初>
マグネシウムは非常に活性な金属であるため、通常、溶解を伴う製造プロセスでは、大気との接触を遮断する防燃ガスとしてSF6が使用されています。このSF6はCO2の23,900倍もの地球温暖化係数を有するため、京都議定書にも排出抑制対象ガスの1つとして列挙されており、環境保護の面からその使用の全廃が切望されております。そのため、今後のマグネシウム製品のさらなる需要拡大を実現するためには、SF6を使用しないマグネシウム溶解・精製及びマグネシウム合金凝固プロセスの開発が必須と考えられます。

当社ではこの開発ニーズに沿うべく、カルシウムの添加によるマグネシウム溶湯の防燃化、ならびに製品の難燃化を量産レベル(1トン級/バッチ、鋳塊サイズ12インチ級)で確立し、実溶解・鋳造工程におけるSF6フリー化を達成しました。量産レベルでのSF6フリー化は世界初であり、マグネシウム製品の製造工程における環境負荷低減に大きく貢献できることとなります。なお、本開発技術については新しいマグネシウムの溶解方法として特許出願を完了しております。
(3)溶解・鋳造、押出の一貫技術を構築
当社では、前述のSF6フリーマグネシウム溶解・鋳造工程で製造したマグネシウム合金加工用素材(ビレット)を活用し、高機能を発現し得る押出材製造技術も併せて確立しました。2輪車および鉄道車輌用構造材として適用が期待される12インチ級の大型異形材の押出加工技術を開発するとともに、その機械的性質をアルミニウム合金構造用部材と同等レベルに向上させることに成功しました。
また、本押出形材は難燃材として鉄道車輌用部材の評価試験にも合格しております。このことにより、当社はSF6フリー化を実現可能なカルシウムを含有するマグネシウム合金において、ビレット鋳造から押出加工に至る一連の製造技術を構築することができました。

以上の成果により、当社は現在、本開発材の車輌用構造部材への適用に向けて活動中です。
−以上−



ニュースリリースに記載されている情報は、発表日現在のものです。

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