「コーヒーのある暮らし」をテーマに、心地よい空間をプロデュースする夫婦ユニット「cafenoma(カフェノマ)」の刈込隆二さんと弓庭暢香さん。インスタグラムなどを中心に情報発信をしており、コーヒーのある日常のワンシーンを美しく、おしゃれに切り取った写真が話題の、フォロワー数11万人を超える人気インスタグラマーです。今回はそんなお二人の考える「心地よい空間づくり」や「コーヒーへのこだわり」についてお伝えします。
“カフェノマは「いいと思ったことを表現するフレーム」ですね。”
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インスタグラムで人気の「カフェノマ」ですが、
どういったユニットなんでしょうか。刈込:「カフェノマ」を会社と思っている方もいらっしゃるようなのですがそういうわけではなくて、会社は「オトノマ株式会社」という別の屋号でやってます。なので仕事ではないですが、では趣味かというと、趣味でもないです。自分たちがいいと思ったことを表現する「創作のフレーム」ですね。
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「創作のフレーム」とは?
刈込:このなかで表現をしていこうという枠組みのようなものだと思います。
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そのカフェノマは「コーヒーのある暮らし」を
テーマに活動されていますよね。刈込:コーヒーは好きなんですが、まず「家が好き」なんです。家で過ごす時間が長くなると、自然とコーヒーを手にする機会も増える、と。
弓庭:休みの日は家でゆっくりするのが一番。そこでくつろぐときについてくるものがコーヒーなんです。
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家にいることが第一なのですね。
弓庭:前職ではキャビンアテンダントとして、19年間いろいろなフライトを経験してきました。月に20日くらいは外泊する仕事だったので、家でゆっくりしたいという想いは人より強いと思います。
刈込:私はフリーのようなスタイルなので、だいたい家で仕事しながらコーヒーを飲んでいます。結婚してまだ10年くらいですけど、独身時代から私も彼女もコーヒーやその道具が好きだったんですね。それらが重なって今に至るという感じです。
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そうしてインスタグラムでの発信をスタートされたのですね。
刈込:といっても、自分たちは特別なことをやっているつもりはないのです。発信しているのは日常なので。カフェノマの活動を始めた頃、インスタが話題になり始めました。そこで趣味の写真の練習をしつつ、彼女のコーヒーの道具を撮り始めたという感じですね。
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インスタには、さまざまな「コーヒーの道具」が写り込んでいます。
弓庭:道具は自然に集まりました。前職のときから、国内外問わずいろいろな場所で買ったりしました。イタリアに行くと道具に巡り合う機会が多かったりして……。他の人からお家を見たら「いろんなものあるな」って思われるかも(笑)
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そうしたコーヒーの道具などが並ぶキッチンやリビングですが、この空間にもこだわりが?
弓庭:小さいころから家が好きで。このマンションは水回りなどから自由に作れたので、「こういう空間にしたいな」という想いが蓄積された家になっています。特にキッチンまわりのレンガのスペースにはこだわっています。この古いレンガのように、長い間使っていて「味わいが出てくるもの」に惹かれるんですよね。
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室内にもそういうものが多く見えますね。
弓庭:家の中は「味のあるもの」と「無機質なもの」の配分が大事だと思います。自分たちにとって一番心地よいバランスで。
“そのときに一番飲みたいコーヒーを楽しむだけ。”
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今、インスタグラムの活動以外に
コーヒー豆の販売もしていると伺いました。刈込:自分たちが一番美味しいと思える味に行き着いたオリジナルブレンドを作っていまして。生豆を仕入れて、焙煎したものを販売しています。焙煎は、日本のコーヒーロースティングチャンピオンシップで優勝した焙煎士と一緒に。プレス、ドリップ、エスプレッソでもおいしく飲めますよ。
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なるほど。コーヒーバッグの商品は、
かわいいパッケージが特徴的ですね。刈込:こちらも自分たちで企画した商品です。パッケージイラストは彼女がデザインして、コーヒーは自家焙煎の専門店とコラボをして。
弓庭:それぞれに題名を考えていて。例えばグレーのパッケージのものは「START MY DAY」。朝に飲みたいイメージで味作りをお願いしました。
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やはり日常生活ではコーヒーをよく飲まれますか?
弓庭:コーヒーはつねに用意しています。ひと月に消費するのがキロ単位なので(笑)
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どんなコーヒーが好きなんですか?
弓庭:いろいろあるけど、そのときの「自分たちの流行り」みたいなものがあるんです。「水出しがおいしいね」ってなるとずっと水出しで飲んだり。
刈込:クリアなコーヒーが好きなので、冬でも水出しで、それを温めて飲むこともあります。
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水出し以外にも、抽出方法や挽き方はいろいろありますよね。
刈込:基本的にはプレス(※1)が好きです。
弓庭:サイフォン(※2)は味というよりも、工程を楽しむものなので使い分けています。
刈込:でも、シチュエーションによって飲みたいコーヒーや淹れ方も変わりますけどね。苦みが強すぎるタイプなんかは、コーヒーゼリーにして食べちゃうときもあります。
弓庭:ゼリーにすると、コーヒー豆の味の違いがわかるんですよね。飲むのではなくて、ゆっくり食べるので。豆によって味の違いが割と顕著に出て面白いですよ。
“白いポットでコーヒーを淹れている自分が
最初に浮かんだんです。”
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お二人とも空間づくりには色々な工夫をしておられると思いますが、「好きなもの」をたくさん置くバランスみたいな感覚はあるんですか?
刈込:「気に入ったものを家に置きたいから買う」ではなく、気に入った空間に気に入ったものが「ちゃんと合うのか判断してから迎え入れる」ということです。いいと思ったものでも、家に場所がなかったら見送る。「そういえばあの空間、ちょっと物寂しい」「ぽつんとあいてるな」と思ったら迎え入れるということですね。それに彼女の場合は、ものがあふれないように、トレードオフみたいな感じのことを無意識にやっていると思います。
弓庭:そうですね。好きなものを集めるのと同時に、余白も大事にしています。好きなものってたくさん並べても、余白がないとギュッとし過ぎて、良さが埋もれてしまう。
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余白ですか。
弓庭:ものが多くなって、埃を被ったりしても残念なので。好きなものはどんどん使います。
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何度か「空間づくり」についてお話がありましたが、
家の中で落ち着く場所を挙げるとすればどんな空間でしょうか。刈込:自分は仕事場ですね。そこに1人でいると落ち着きます。
弓庭:私は、まずこの家を考えたとき「白いポットでコーヒーを淹れている自分」が浮かんだんですね。そこから空間を考えて「ここにはキッチンで、カウンターをここに作って…」というイメージが膨らんだので、やっぱりキッチンに立っているときでしょうか。
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実際にこの部屋を見ていると、その姿はお似合いだと思います。
弓庭:小さいころ、部屋の間取りが載っているチラシを見て、家具の配置を想像するのが趣味でした(笑)上から鉛筆で描きこんで「ここに収納」「ここはあれを置いて」とか考えたり、勝手に間取りを変えてみたりとか。
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「間取りを考える趣味」ですか。
それが今につながっているのですね。刈込:今みたいに彼女は「自分がこういう場所にいたら落ち着く」って想像をするのが趣味で、カフェノマはその「妄想を形にしていく」みたいな感じです。僕は空間についてのこだわりはなくて、単に「家にいるのが好き」。彼女は「家が好き」。お互いが結びつく場がカフェノマだったということですね。
弓庭:彼は逆に、ものに執着しないので。「ない方がいいんじゃない」とかって(笑)。
刈込:僕はどんどんものを捨ててしまうので。
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でも、ものを迎え入れるときは賛成してくれますか?
刈込:賛成というか、いいんじゃないって感じ?
弓庭:「いいんじゃない」ってよく聞きます(笑)
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弓庭さんのセンスを信頼しているんですね。
刈込:それはありますね。彼女はイエス・ノーがはっきりしていて、そして好き嫌いに自信を持っている。それにはプロデュースする価値があって、カフェノマみたいな場を用意して、そこで彼女が好きなものを出せば、きっと想いは伝わるのではないかと思っていました。
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つまり、弓庭さんの「好き」を伝えるのが
カフェノマの役割なんですかね。刈込:そうですね。彼女をプロデュースすることがカフェノマの建付けです。なので好きなようにやってもらっています。
弓庭:「これを見せたいな」と考えてものを買っているわけではなくて。「自分はここにいたい」「これでコーヒーを飲みたいとか」、そういう気持ちが一番なんです。
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ありがとうございました。
最後に今後の活動について聞かせてください。刈込:カフェノマとしては、自分たちにしか残せない価値を残していくことがこれからのテーマになるのかなと思っています。今までは家の中を中心に撮影してきましたが、自分たちの周辺に目を広げて、自分たちにとっては日常だけど、「ほかの人にも価値がある何か」を形にしたいですね。
弓庭:そうですね。その出発点になるのはやっぱり「自分の好きなもの」だと思います。これからも自分の中の「好き」を突き詰めていきたいなと思っています。
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淡々とした日々の連続。そんな日常の中でも、ほんの少し現実から離れてホッとできるひと時が、私たちにとっての「コーヒーの時間」です。そんな時こそ、心地よい空間で、できるだけリラックスしてコーヒーを楽しみたいんです。腰壁のあるハピーナリラなら、自然光や風を感じながら過ごしたり、外からの視線も遮ってくれるので、気兼ねなく思いのままに過ごすにはぴったり。時間をかけて自分色にカスタマイズするのも楽しそうです。