CREATE A PLAYFUL AQUARIUM

アクアリウムマニア

自分の手で作り上げる、
水槽の中の小さな宇宙。

熱帯魚用水槽のレンタルやメンテナンス事業を行う「株式会社アクアレンタリウム」の代表取締役社長・木下裕人(きのした ひろと)さん。子どものころに熱帯魚の魅力に心奪われ、今でも家の中に水槽がないと落ち着かないというほどですから、アクアリウムに対する情熱は本物です。今回はそんな木下さんがアクアリウムマニアとなったきっかけや、水槽作りへのこだわりなどを紹介していきます。

“水族館で働きたいと思ってました。”

  • いつからアクアリウムに関心を持たれるようになったんですか?

    木下:中学時代の友達のお父さんが熱帯魚を飼っていて。休みの日に熱帯魚ショップに連れて行ってくれたりしたのがきっかけです。

  • 初めて見たときにどう感じました?

    木下:衝撃的でした。当時は水槽で飼うものといえば金魚くらいでしたから。何せ、家に90cmもの大きな水槽があるんですよ。その中には魚だけが泳いでいて、砂とかも一切入っていなかったんです。不思議に思って聞いてみたら「その方が魚にいい」と言われて「こんな世界があるんだ」って…。

  • そこからご自分でも飼われたんですか?

    木下:そうですね。下駄箱の上に水槽を置いて飼っていました。

  • 周りから珍しがられたのでは?

    木下:当時、熱帯魚を飼っている人なんて学校では2、3人いたかなぁ、のレベルでしたね。あと親からは、生き物を飼うのはいいとは言われたものの基本大反対でした。一番反対されたのは水槽の重さで。かなり重くなるでしょ?当時置いていたのが下駄箱の上だったので、もし水がこぼれたら玄関がビショビショになるからって。まあ実際に何回か水漏らしましたし(笑)

  • 反対を押し切って飼っていたんですね。

    木下:はい。よく許してくれたなと思いますね。

  • その延長でアクアリウムをお仕事に?

    木下:いえ、当時は、ただ単純に熱帯魚が好きで飼っているという感じだったんです。本当は水族館に就職しようと考えていたんです。クジラとか、イルカ、シャチみたいな海洋哺乳類が好きで、そういう関係の専門学校に行っていましたし。いろいろあって水族館への就職は諦めたのですが、そんな時にアクアリウムの仕事を知って、水槽のレンタルやメンテナンスをしている会社に入りました。

  • そのお仕事のどんなところに惹かれたのでしょうか?

    木下:アクアリウムの仕事っていうのは、要するに水槽の「中のデザイン」を考える仕事なんです。それまでそんな仕事があるなんて知らなくて。当時そんな会社は珍しくて、需要がたくさんあったので、いろいろな種類のアクアリウムと出会えました。それで、仕事でいろいろな魚や水槽に触れていくうちに「勉強にもなるし自宅でも置いてみよう」と思ったんです。そこから本格的にのめり込んでいった感じですね。

  • その後、独立されたのはなぜですか?

    木下:段々と現場から離れて、水槽のデザインとかにも直接関われなくなってきたので、自分の中で環境を変えたいと思ったんです。だから独立して、今できる最高の水槽のレベルをお客さんに提供したいと考えました。その思いは今でも変わっていませんね。

“魚が1匹なのには
ワケがあるんです。”

  • おうちでは、アクアリウムってどういう風にして楽しまれていますか?

    木下:暇なときとか、息抜きしたいときに見ている感じですね。やっぱり水槽があると本当に落ち着きますよ。仕事から帰ってきて、ゆっくりしたいときに何も考えずにボーっと水槽を眺めるんです。そしてお酒を飲みます。頭を空っぽにできるというのが何よりも魅力ですね。

  • ちなみにご自身で飼われている魚とかに名前を付けたりするんでしょうか?

    木下:シマヤッコを飼っていたときはシマチャンという名前を付けていましたね。群れている魚には付けないですが、1匹だけ飼っているときには付けます。ごはんだよーなんて声をかけたり。指でトントンとするときにエサをあげたりすると、寄ってきたりするように芸を仕込んでいた時期もありました。

  • おうちで楽しむとき、水槽のどんなところを見られているんですか?

    木下:「このサンゴ、色良くなってきたなー」とか。

  • (笑)

    木下:サンゴの開き方や魚の様子を見て「なんかおかしいな?」「どうしたのかな?」と思ったら、機材を見たり、水を換えたりしていますね。そういう試行錯誤をすることも楽しみの一つだと思います。

  • 楽しそうですが、正直、魚の世話を含めアクアリウムって手入れが大変なイメージがあります。

    木下:実はこれにはコツがあって。一つこれから始める方へのアドバイスとしては、できるだけ大きな水槽を用意して、魚は少なめにすること。この水槽も魚がほとんどいないでしょ。

  • あ、そういえばそうですね。

    木下:魚が多いと、餌も増えるし、フンも増えます。そうすると水が汚れやすくなるんです。これぐらいの環境だと、ほとんど水が汚れないから手入れもかなりラクです。

  • なるほど。YouTubeチャンネル「アクアリウム大学」でもいろいろ解説されていますね。

    木下:やはり僕自身も入社したてのころは何もわからなかったですし、うまくいかないことも多くありました。「一般の人がコツをつかむにはもっと苦労するんじゃないかな?」と思ってYouTubeをはじめたんです。たくさんの反響があってうれしかったですね。

“自分のためではなく、
人のために水槽を作っています。”

  • アクアリウム人気は上がってきていると思いますか?

    木下:そうですね。コロナ禍でおうち時間が増えた影響か、アクアリウムを楽しむ人が増え、確実に需要が増えてきたのを感じています。

  • 最近のトレンドなんかはあるんでしょうか?

    木下:最初のブームは“ニモ”で注目されたクマノミだったと思いますが、最近はメダカとビオトープですね。だから「アクアリウム大学」でも「自分がメダカを育てるならこうするよ」という情報も発信しています。とにかく今のメダカブームはすごくて、一時期の金魚を超える勢いがありますね。

  • そうなんですね。ところで今、ご自宅には何台くらいの水槽が?

    木下:多いときは5台、最近でも3台くらいは置いていたんですけど、ほとんどお客さんに売ってしまって今では1台だけです。全部趣味のつもりで作ったアクアリウムなので売るつもりはなかったんですけど「この水槽がほしい」と言われると「じゃあ、どうぞ」と言う感じで。

  • 手元に置くよりもほしい人のところに行く方が幸せだと?

    木下:今はそうかもしれないですね。売って新しいものを作って、YouTubeを見ている方をはじめ、多くの人に届けて喜んでほしいな、って思っています。

  • 愛を感じますね。そんな木下さんにとって、マニアとして「醍醐味を感じる瞬間」を教えてください。

    木下:やっぱり、新しい水槽を買って、「さあどうしようか」という瞬間が一番ワクワクしますね。真っ白なキャンバスに絵を描く感じというか。自分の場合、水槽の中に「自然の風景」を再現するのが好きなんですが、同じ水槽は二つとありません。興味を持たれた方は、ぜひこの深みにハマってほしいですね。

アクアリウムマニアが注目する
三協アルミのおすすめ商品

水槽を置く場所は、直射日光や空調機器の風が直接当たる場所は避けた方がいいなど、大切に扱うためにいろいろな注意が必要です。なので、アクアリウムが好きな方には、専用の部屋を持っている方もたくさんいます。僕には残念ながら趣味の部屋はないのですが、もしあるなら自分にとって最高の水槽を演出できるので、ぜひ趣味スペースを作ってみてはいかがでしょうか。

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